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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年2月4日 No.3256 関西会員懇談会を大阪で開催 -「経済再生を確実に実現する」をテーマに

あいさつする榊原会長

経団連(榊原定征会長)は1月26日、大阪市内で「関西会員懇談会」を開催した。榊原会長をはじめ審議員会議長、副会長らが出席し、関西地区からは会員約400名が参加。「経済再生を確実に実現する」を基本テーマに懇談した。

開会にあたり榊原会長は、2016年はデフレからの脱却と経済再生を確実に実現し、GDP600兆円経済への確固たる道筋をつける年とすると決意を表明。安倍政権の新「三本の矢」と経団連が昨年1月に公表したビジョンの目指すところは軌を一にしており、共通の目標の実現に向け、最大限協力するとしたうえで、経済の好循環のカギを握るのは賃上げと設備投資の拡大であるとし、関西会員に協力を呼びかけた。

◇ 関西経済の活性化に向けて

その後、2つのテーマを設定して行われた懇談では、「関西経済の活性化」について、関西会員を代表して、森詳介関西電力会長から、関西経済界は、新「三本の矢」を歓迎しており、足もとの好調を持続的な成長に結びつけるための取り組みを加速するとの発言があり、外国人旅行者の拡大に向けた関西ワールドマスターズゲームズの知名度向上、原子力発電所の再稼働に向けた取り組みなどについて紹介があった。

また、藤原崇起阪神電気鉄道社長からは、国・行政・民間事業者が連携を強め、一貫性のある防災対策を実行すべきとの発言があり、駅を中心とした安全で活気あるまちづくりを通じた関西の活性化について紹介があった。

これらの論点に対して、(1)経済の好循環を回すという社会的要請を踏まえ、収益が拡大した企業は、2015年を上回る年収ベースでの賃金引き上げの検討が望まれる(工藤泰三副会長)(2)法人実効税率の20%台への引き下げなど、経済の好循環実現に向けた事業環境の整備が進みつつある(宮永俊一副会長)(3)経済活性化に向け、観光の果たす役割はますます大きくなっており、観光分野への投資促進や規制改革が求められる(古賀信行副会長)(4)基幹インフラや国民生活に必要な財・サービスを提供する企業が、率先して防災・減災対策を進めることが重要(十倉雅和副会長)(5)大阪は商都として長い歴史と独創性を有しており、まちづくりにあたり、その強みや魅力を一番理解している関西自身の取り組みが何より重要(岩沙弘道審議員会議長)(6)新しい需要を掘り起こすための新商品・技術の開発には、ベンチャー企業を取り込んだイノベーションが有効(荻田伍副会長)(7)損害保険の原型や先物取引は関西発であり、先見性・独自性というDNAを有する関西会員が、新たな取り組みのモデルになることを期待(石原邦夫副会長)――と応じた。

◇ 産業競争力強化に向けて

また、「産業競争力強化」について、豊田昌洋エア・ウォーター会長から、国際競争に耐え得るエネルギーの安定供給や物流部門の高コスト構造からの脱却が望まれること、酒井健二日本ペイントホールディングス会長から、ビジネス形態や塗料・塗装文化の違いから海外には売上高1兆円超の企業が複数ある一方、国内では全社の売上高を合算しても1兆円に届かず、大きな差があるなどの発言があった。

これらの論点に対して、(1)安全性を大前提に原子力発電所の早期の再稼働とともに、国民負担増となる再生可能エネルギー固定価格買取制度の見直しを働きかける(木村康副会長)(2)地方版規制改革やIoT(Internet of Things)、ビックデータ活用による物流効率化や、戦略的国際標準化の主導権を握ることが競争力の強化につながる(友野宏副会長)(3)イノベーションには、水素社会のようなゼロから創造するものと、既存産業のなかで起こすものがあり、いずれも競争力強化に有効(内山田竹志副会長)(4)第5期科学技術基本計画が掲げるデジタルを活用した社会課題の解決など、新たな社会や価値を創造する「ソサエティ5.0」で主導権を握ることにより競争力強化を図りたい(中西宏明副会長)――と述べた。

最後に榊原会長は、地方経済の活性化なくしてデフレからの脱却と経済再生は実現できないとして、引き続き関西会員に強力な支援を呼びかけた。

【関西事務所】

懇談会後に榊原会長が記者会見

懇談会終了後、榊原会長が記者会見を行い、関西経済について次のとおり発言した。

関西経済は日本全体の約2割を占めており、双発エンジンとして日本経済を牽引するポテンシャルは高い。とりわけ、ここ数年インバウンドの増加によって、消費の拡大など関西経済は様変わりするほど活性化している。関西国際空港の外国人利用者は急増しており、今年4月の民営化を契機にさらに受け入れ機能が拡大すれば、関西経済はさらに成長すると思う。

また、特区の指定を受けながら、なかなか進捗していない地域があるなかで関西は特区を経済成長につなげている。具体的には健康・医療産業やエネルギー産業の振興に精力的に取り組み、2025年までに医薬品・医療機器の輸出額を1兆円、リチウムイオン電池、太陽電池などの電池生産額を5兆円にする目標を掲げている。輸入手続きの簡素化などの具体的な規制緩和にも取り組んでおり、関西では十分に特区が活用されていると思う。

さらに、北陸新幹線の大阪延伸も関西経済の推進力になる。ルートが決まり、これが実現すれば、関西経済の活性化に大きく貢献するだろう。

【広報本部】

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