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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年3月30日 No.3310 経済外交シンポジウムを開催 -ポピュリズム時代のわが国経済外交のあり方について議論

大林経済外交委員長

片野坂経済外交委員長

欧州連合(EU)に対する英国政府の離脱通知を受け、今後EU側でも対応方針を決定し、離脱交渉のプロセスが本格化していくことが想定される。また今年は、これまで欧州の統合を主導してきたフランスやドイツといった主要国で選挙が実施される。

移民問題等を契機とした欧州における国民の不満の高まりや、米国第一主義を掲げて登場したトランプ政権など、主要先進国の内向き志向が顕著となるなか、わが国経済界として今後の動向をつぶさに注視するとともに、経済外交のあり方や対処方針を具体的に検討していくことが重要である。

そこで経団連(榊原定征会長)は、自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向けて、わが国経済外交のあり方等を議論すべく15日、東京・大手町の経団連会館で外務省とシンポジウムを共催した。

概要は次のとおり。

■ 武井俊輔 外務大臣政務官基調講演要旨

なぜ今経済外交が重要なのか。資源と市場を海外に依存している日本が経済的に発展し続けるためには、国際経済関係を状況に応じて自ら最適化し続ける努力を怠ってはならない。日本の繁栄の基礎である自由で開かれた国際経済システムのうえに、日本企業が活躍しやすいルールを描くことが、わが国経済外交にとって最も重要な課題である。

国力の源泉は経済であり、これを担っているのは民間企業である。経済外交は、今まで以上に官民が連携して取り組むべきフロンティアであり、ヒト、モノ、カネ、技術等を有する民間企業の力が不可欠である。今こそ自由で開かれた世界経済の維持・発展、そして日本経済のさらなる成長のために、経済界とともに取り組んでいきたい。

■ 遠藤乾 北海道大学教授講演要旨

ポピュリズムが英国や米国という19~20世紀の覇権国を襲い、世界が揺れている。「グローバル化と国家主権と民主主義の3つは同時に並び得ない」というトリレンマの顕在化によって、中道の穏健政党など既存の政治エリートが没落し、両極化が進行している。

ポピュリズム時代における根本問題は、民衆が自由貿易に背を向けることである。国民の支持があって初めて、経済外交をつつがなく進めていけることを、Brexitやトランプ現象は指し示しているように思う。

■ パネルディスカッションにおけるパネリストの主な論点

(1)山野内勘二 外務省経済局長

ポピュリズムと経済の実態の衝突の結果をどのように観察し、乗り越え、わが国の国益に結びつけるかが日本の経済外交における課題である。

(2)清水章 日立製作所執行役常務

Brexitとトランプ新政権の双方に共通するのは、移民労働力をどう扱うかが大きな争点となっていることである。いずれにせよ、事象を正確に理解すべく、企業人の目線でしっかり観察することが重要である。

(3)大島正太郎 国際経済研究所理事長

米政権の今後の政策が不透明ななか日本として最も重要なのは、ルールに基づいた自由貿易を声高に主張しながら、現実的に交渉や話し合いに対応していくことである。

【国際経済本部】

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