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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年5月18日 No.3315 ベルリンでB20サミット開催される -メルケル独首相に20項目の提言を手交

講演するメルケル首相

ドイツのハンブルクで開催されるG20サミットを7月7、8日に控え、5月2、3の両日、ドイツのベルリンでB20サミット(G20ビジネス・サミット、ドイツ産業連盟・ドイツ経営者連盟・ドイツ商工会議所共催)が開催された。

G20サミットで議長を務めるドイツのメルケル首相が2日目に講演し、各国がグローバル化のもたらす機会から利益を得るとともに、リスクを最小化できるような共通の規制枠組みが必要だと指摘した。そのためには、正しい道を選択し、人々を中長期的に導き、危機の再発リスクを減少させるような決定を行う必要があると強調。G20議長国としてドイツは、世界経済の安定性と強靱性を高めるとともに、世界の公共財に関する共通の基準を策定することなど、グローバルなリスクを低減するための施策を講じるべく努力する意向を表明した。

講演後、ヘレウスB20議長(ヘレウス・ホールディング監査役会会長)からメルケル首相に対して、B20が、(1)貿易・投資 (2)エネルギー・気候・資源の効率的利用 (3)金融・インフラ (4)デジタル化 (5)雇用・教育 (6)責任ある企業行動・反汚職 (7)中小企業――の7つのタスクフォースにおける議論をもとに取りまとめた20項目の提言(※)が手交された。

そのほか、サミットでは8つのセッションで議論が行われた。貿易・投資に関しては、アゼベドWTO事務局長が、貿易なくして成長・雇用はないとして、貿易は問題をもたらすものではなく、問題の解決をもたらすものであると強調した。

パネルディスカッションでは、「輸入関税の引き上げは消費者にとって決して好ましくない」「fair tradeと言う人がいるが、その実態は保護主義であることに留意すべきだ」など保護主義への抵抗の必要性が強調される一方、「グローバル化から取り残された人々をいかにして説得するかではなく、いかにして支援するかが課題」「貿易だけですべての問題を解決できるわけではなく、教育や税制など他分野の施策もあわせて講じることが必要」「取り残された人々が貿易に参加することで利益を得るためには、貿易手続きの円滑化、国内規制の撤廃・緩和などによって貿易コストを削減し、中小企業の参加を促すこと、技能の向上を図ること、企業の責任ある行動などによって多角的な貿易システムを下支えすることが必要」との指摘があった。

また、貿易がもたらす便益を説くうえでは、「言葉づかいを一般市民が理解しやすいようなかたちに改めるべきだ」「貿易を推進する側も貿易に反対している人々と同じように情熱的でなければならない」といった指摘があるとともに、「中小企業や途上国にとっての貿易の重要性がもっと強調されて然るべき」との発言もあった。具体的な課題としては、データの国境を越える自由な移動の確保などデジタル貿易に関するルールづくり、人の移動の自由の確保、多国間の投資枠組みの構築に関する働きかけの継続などが指摘された。

※ 提言はB20サミットウェブサイトに掲載(https://www.b20germany.org/fileadmin/user_upload/documents/B20/b20-summary-doc-en.pdf

【国際経済本部】

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