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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年6月15日 No.3319 IASBのハンス・フーガーホースト議長から最近の国際会計基準をめぐる動向を聞く -金融・資本市場委員会企業会計部会

説明するフーガーホースト議長

経団連は5月26日、東京・大手町の経団連会館で金融・資本市場委員会企業会計部会(野崎邦夫部会長)を開催し、IASB(国際会計基準審議会)のハンス・フーガーホースト議長から、最近の国際会計基準をめぐる動向を聞くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 最近の国際会計基準をめぐる動向

IFRS(国際財務報告基準)を任意適用するわが国の企業数は年々増え、2017年4月現在で164社、上場企業の時価総額の31%にまで至っており、望ましい状況にある。

5月18日には、開発に20年を費やした会計基準であるIFRS第17号「保険契約」を公表した。保険会社の財務報告は、現在、国ごとに異なる会計基準が使われているが、IFRS第17号により、将来的に単一の基準が適用されることになる。これは、投資家にとって大きな改善であり、新基準の適用によって資本コストが低下すれば、保険会社にとってのベネフィットも大きい。

IFRSの基準開発は、現在のところ新規の大型プロジェクトは予定しておらず、今後、IASBは既存の基準の適用支援に注力していく予定である。

また、IASBでは、「財務報告におけるコミュニケーションの改善」を優先課題に位置づけている。そのなかの「基本財務諸表」プロジェクトでは、純損益およびその他の包括利益計算書の比較可能性を高める目的で各種の段階利益の表示を検討中である。さらに、企業と投資家のより良いコミュニケーションを図るための「開示に関する取り組み」を展開している。

他方で、財務情報と非財務情報をあわせた「統合報告」のトレンドが以前にも増しており、「統合報告」の分野でもIASBが役割を高めていくべきかどうかも検討中である。

<意見交換>

その後行われた意見交換では、野崎部会長から、わが国の会計基準設定主体であるASBJ(企業会計基準委員会)とともに、経団連がかねて要望しているIFRSへの「のれん」の償却の再導入の必要性を改めて強調した。

さらに、石原秀威部会長代行から、企業経営の立場からも「のれん」の償却は堅実な事業経営を志向する傾向の強いわが国企業にあった会計処理であり、「のれん」の償却による投資原価の定期的な費用化が、経営に一定の規律をもたらすとともに、業績の振れ幅が大きくなるリスクを減じ、企業の安定的な成長を通じた企業価値向上や持続性の確保にも資すると説明。現状、減損処理のみとされる他国事情にも配慮し、「減損のみ」と「減損および償却」の選択制導入もアイデアの1つとして提案した。

このほか出席者からは、「事業には、成長~成熟~衰退のサイクルがつきものであり、後継経営者に『のれん』の高い減損リスクを押し付けるのは現経営者の本意ではなく、『のれん』は定期償却すべきだ」との意見が出された。

これに対し、フーガーホースト議長からは、選択制については比較可能性の観点から懸念があること、および「のれん」の会計処理は、現在、米国の会計基準設定主体であるFASB(米国財務会計基準審議会)も減損の簡素化を試みており、その取り組みの動向などを一定期間フォローするとの見解が示された。

【経済基盤本部】

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