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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年9月14日 No.3330 国土交通省と今後の物流政策をめぐり懇談 -運輸委員会

経団連は8月7日、都内で運輸委員会(武藤光一委員長、大西賢委員長)を開催し、国土交通省の重田雅史大臣官房物流審議官から、2020年度までの物流施策の指針を示した総合物流施策大綱(7月28日閣議決定)について説明を聞くとともに懇談した。講演の概要は次のとおり。

■ 物流を取り巻く状況変化

物流は、わが国の産業競争力の強化、豊かな国民生活の実現と地方創生を支える社会インフラであるが、13年に前大綱を策定後、社会状況は大きく変化した。

物流は近年、運送や保管にとどまらず、流通加工、販売代行、料金収受等、多岐にわたる機能を担い、非常に高度化している。同時に、貨物輸送の小口化・多頻度化の進行や通販事業の拡大、ライフスタイルの変化に伴い、宅配貨物取扱量は増加の一途にあり、再配達による社会的ロスも大きい。とりわけ、トラック運送業においては、担い手不足が顕在化しており、その解消に向けて、長時間労働の是正や適正収受の推進が喫緊の課題となっている。

また、消費市場としても急成長を遂げるアジアでは、コールドチェーンや医薬品輸送等に依然課題がある。加えて、パリ協定の発効により、わが国の温室効果ガス排出削減目標の達成も厳しい状況にある。熊本地震の教訓を踏まえた災害物流の拡充も重要である。

人口減少・少子高齢化が急速に進行するなか、今後の物流政策は若い担い手の大量採用を前提とせず、ビッグデータ・AI・ロボットの活用等を通じて、物流の労働集約的な面を克服していく必要がある。

■ 新たな大綱が目指す施策

物流を取り巻く環境が変化するなか、こうした課題に対応できる〝強い物流〟を構築するため、今般、新たな大綱を策定した。「繋がる」「見える」「支える」「備える」「革命的に変化する」「育てる」の6つの視点から、必要な取り組みを官民が連携して推進していく。

例えば、最近活性化している民間事業者同士の協調を後押しするため、官民での協議の場を設置することを検討する。物流システムの国際標準化の推進についても、今年2月に取得したPAS規格に続き、将来的にはISO規格化を目指したい。

宅配便の再配達の削減に向けて、オープン型宅配ボックスの普及も支援する。民間施設と直結したスマートインターチェンジを整備することで、幹線輸送のビジネスモデルを変え、流通に踏み込んだ効率的な物流の実現にも取り組める。

産業界のニーズが高いトラックの隊列走行については、社会実装に向けた実証事業が行われるなど技術的研究が先行しているが、制度インフラも遅れずに整備していきたい。このほか、新たな学習指導要領に物流に関する記述を充実させたので、小中学校教育を通じて物流の理解増進を図っていく。

【産業政策本部】

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