1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2018年1月18日 No.3346
  5. 日本商工会新年会でもトランプ政権の行方が話題に

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年1月18日 No.3346 日本商工会新年会でもトランプ政権の行方が話題に -ワシントン・リポート<25>

ワシントンDCおよび近郊の日本企業ならびに日本人の集まりであるワシントン日本商工会(Japan Commerce Association of Washington, D.C.、JCAW)が、今年で創立30周年を迎える。

米国の主要都市には、日米協会、日本商工会(あるいは商工会議所)ならびに日本人会があるが、ワシントンではJCAWが日本人会の機能も兼ねているため、その活動は研修会、親睦スポーツ行事、日本語教育支援、地域貢献から新春祭りの開催と多岐にわたっている。

1月11日、JCAWの2018年度総会が開催された。直後の新年会には、在米日本大使館からのゲストも含め、総勢100名以上が参加し、田中正良NHKワシントン支局長が「2018年トランプ政権の行方は~メディアからの観察」のテーマで講演した。

田中氏は、最近出版されたホワイトハウス暴露本「Fire and Fury」が海賊版が出るほど注目されている話から始め、大統領のツイッターの内容とその影響などを交え、トランプ政権の行方をユーモラスに解説。なかでも、(1)ツイッター・フォロワー数は当初の3.6万人から4600万人に増えたが、依然オバマ前大統領9800万人の半分に満たない(2)インタビューはFOXニュースが圧倒的に多いもののニューヨーク・タイムズも比較的多い(3)外国メディアへの関心は低い――などの指摘が印象的だった。

トランプ政権誕生が予想外だった背景に、ワシントンDCとDC外諸州の雰囲気の違い、特にトランプ支持者の動向への理解不足があった。先日のアラバマ州上院議員補欠選挙では、セクハラを指摘されたムーア共和党候補が21年ぶりに民主党候補にその座を明け渡したが、その予備選では、トランピスト(トランプ支持者)の支持を得たムーア候補が、マコーネル上院院内総務はじめ共和党指導部が推すストレンジ候補に勝利した。トランプ大統領自身が当初はストレンジ候補を支持し、ムーア候補の選出が決まった後は同候補への支持を表明する一幕もあったが、党内トランピストの動向が重要だとあらためて印象づけた。

以前NHKで、ラストベルトのトランプ支持者のなかにも政権への失望感が出始めていると報道があったので、質疑応答の折にその後の動向を尋ねた。あわせて、トランプ政権がこれまでの政権へのアンチテーゼとすれば、トランプ政権へのアンチテーゼはどうなるか、これまでのような政権に戻るのか、より過激な「ハイパー・トランプ政権」になっていくのかとも質問した。これに対して田中氏は、現状が改善しないことへの失望、不満はあってもトランプ大統領への支持は依然として底堅いので、この政権はしばらく続くとの見方だった。

新春とはいえトランプ政権後を論ずるのは時期尚早ではあろうが、新年会閉会後の雑談では、民主党側も「ハイパー化」するなど迷走ぶりをみせており、これまでのような政権に戻ることは考え難いというのが大方の印象だった。

(米国事務所長 山越厚志)

「2018年1月18日 No.3346」一覧はこちら