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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年1月25日 No.3347 「活力ある金融資本市場の実現に向けた金融庁の取り組み」聞く -金融・資本市場委員会

説明する池田局長

経団連は12月25日、東京・大手町の経団連会館で金融・資本市場委員会(國部毅委員長、釡和明委員長)を開催し、金融庁の池田唯一総務企画局長から、活力ある金融資本市場の実現に向けた金融庁の取り組みについて説明を聞くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 国民の安定的な資産形成

平成29事務年度の金融行政方針では、家計の安定的な資産形成の推進について、(1)「顧客本位の業務運営」の確立と定着(2)長期・積立・分散投資の推進(3)退職世代等に対する金融サービスのあり方の検討――を3つの大きな柱としている。

  1. (1)「顧客本位の業務運営」の確立と定着
    「顧客本位の業務運営に関する原則」の定着に向け、金融機関間で比較可能なKPI等の公表や、金融機関へのモニタリングを行っていく。

  2. (2)長期・積立・分散投資の推進
    「つみたてNISA」の普及を図る。わが国の家計金融資産の伸びは、米国に比べはるかに低い。理由として、家計金融資産の構成比の違いが考えられる。かつては米国も、わが国同様株式や投資信託の保有比率が低かったが、政策的な後押しもあり、資産の分散が進んだ。

  3. (3)退職世代等に対する金融サービスのあり方の検討
    退職世代等のさまざまな状況を踏まえ、金融資産の運用・取り崩しをどのように行い、幸せな老後につなげていくのかを検討していく。また、世代間の円滑な資産の移転の検討も行う。

■ コーポレートガバナンス改革の推進

コーポレートガバナンス・コードとスチュワードシップ・コードを車の両輪として取り組んできた。その結果、約9割の上場企業がコーポレートガバナンス・コードの原則の9割以上を実施するなど進捗が図られた。他方、その実質をみると、なお多くの課題があるとの指摘もある。政府の「新しい政策パッケージ」においても、投資家と企業の対話の深化に向けたガイダンスを策定するとともに、必要なコーポレートガバナンス・コードの見直しを行うとされており、2018年の株主総会シーズンに間に合うよう検討していく。

■ 適切な情報開示・提供の確保

  1. (1)会計基準
    わが国の上場企業等が使用する会計基準の品質を向上させるため、政府では、(1)国際財務報告基準(IFRS)の任意適用企業の拡大促進(2)IFRSに関する国際的な意見発信の強化(3)わが国独自の会計基準である日本基準の高品質化(4)国際会計人材の育成――にバランスよく取り組んでいく。

  2. (2)会計監査
    大手企業の会計不祥事を受け、金融庁の懇談会は、16年3月に会計監査のあり方に関する提言を出した。その提言のうち、(1)監査法人のガバナンス・コードについては17年3月に公表。また、会計監査の信頼性確保のため、(2)会計監査の内容等に関する情報提供の充実策として、企業会計審議会で監査報告書の透明化について議論するとともに、(3)監査法人のローテーション制度について調査を実施していく。

  3. (3)ディスクロージャー
    金融審議会のワーキング・グループにおいて、企業情報の開示・提供のあり方について審議を開始した。具体的な検討課題は、有価証券報告書における経営戦略やMD&A(経営者による財政状態および経営成績の検討と分析)などの開示内容の充実や、政策保有株式や役員報酬などのガバナンス情報の充実・提供方法の改善等である。

■ 市場機能の適切な発揮に向けた包括的な検討

国全体として最適な資金フローが実現しているか、どうすればよりよい均衡が実現するのかといった観点から、課題の分析と政策手段の提示を行っていく。その際、外部の専門家等の知見を活用しながら、金融の全体像について包括的かつ将来の変化も見据えた検証を行う。

【経済基盤本部】

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