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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年2月1日 No.3348 在ロシア日本センター所長との懇談会を開催 -各地の経済情勢や日露経済交流の現状と展望など/日本ロシア経済委員会

経団連の日本ロシア経済委員会(朝田照男委員長)は1月16日、日本政府が日露経済交流促進を目的として、ロシア国内6カ所に設置した日本センターの各所長との懇談会を都内で開催した。任地の経済情勢や日露経済交流の現状、さらに一連の日露首脳外交を踏まえた今後の展望等に関する各所長の説明の概要は次のとおり。

左から山本サハリン所長、鏡ハバロフスク所長、松原サンクトペテルブルク所長、
濵野モスクワ所長、佐竹ニジニーノヴゴロド所長、向井ウラジオストク所長

■ 濵野道博 モスクワ所長

2017年はロシアにとって「特徴のない年」といわれている。経済成長が底を打ち、建設や機械加工、商業、運輸、金融等はマイナス成長が続いているものの、農業を含む一次産業(輸出分野)は好調で、合算してGDP成長率は1.7%を記録した。他方、インフレ率は17年11月時点で対前年比2.57%まで収束したが、公定歩合が7.75%と依然として高い水準にあり、国内の起業マインドに刺激を与えるには至っていない。
積年の課題である天然資源依存構造がむしろ強まり、(1)石油・天然ガス (2)モスクワ (3)富裕層――が「独り勝ち」をしているなか、3月の大統領選を機に、どのような経済政策が展開されるのか注目したい。

■ 松原斉 サンクトペテルブルク所長

日本との経済関係では、(1)自動車産業を中心とした生産基地 (2)建設機械等の現地販売会社 (3)日本茶卸販売等の日本文化・和食に関連した展開拠点――がサンクトペテルブルクの特徴である。
日系企業は当地に50社進出し、ほかにも多くの企業が本社機能を移転しつつある。自動車産業も回復傾向にあり、17年の生産台数は、対前年比25%増の39万台に達する見込みである。
さらに、今年5月下旬に開催されるサンクトペテルブルク国際経済フォーラムでは、ゲスト国として、日本政府パビリオンを開設予定である。

■ 佐竹昭彦 ニジニーノヴゴロド所長

沿ボルガ連邦管区は、13の連邦構成主体ならびに全国の約2割の人口を擁する、自動車産業の中心地である。
今年は、サッカーワールドカップがロシアの11都市で開催されるが、うち5都市が当センターの管轄地である。日本代表のキャンプ地となるカザンのほか、日本代表の試合が行われるサランスクとエカテリンブルクを内包している投資環境にかかる国内ランキングの上位を占める市域も多く、日本との経済関係の強化が期待される。

■ 鏡芳和 ハバロフスク所長

16年に安倍首相がプーチン大統領に提示した8項目の「協力プラン」(注)に関連し、15年に日露合弁事業として設立された JGC Evergreen の温室栽培事業が順調に進捗していることは特筆に値する。17年2月には、日露合弁の医療診断センターも開所し、使用される診断機材や内装機材のほとんどは日本製となっている。
人口60万の中小企業中心の町ではあるが、日本の技術や製品に対する信頼は格段に高い。ぜひ新規ビジネス開拓の可能性を検討してほしい。

■ 向井一良 ウラジオストク所長

毎年9月に開催される東方経済フォーラム、先進発展地区やウラジオストク自由港など、ロシア極東の沿海地方は話題に事欠かない。とりわけウラジオストク自由港は、20自治体と5地域の経済特区へ発展し注目を集めているが、制度が十分に理解されているとはいい難いのが現状である。
一方で、17年8月から電子査証(8日間)の取得が可能となるなど、さまざまな優遇策が講じられており、今後の人的交流の拡大が期待される。

■ 山本博志 サハリン所長

人口約50万人以下のサハリン州は、17年、観光庁長官が3名、水産庁長官が3名更迭されるなど、業績を上げられない高官に対するコジェミャコ知事ならびに中央政府の圧力が顕著である。
資源依存構造から脱却できず、健康寿命や生活の質なども芳しくないが、北海道以外の地域とも人的交流を推進していくようお願いしたい。

(注)8項目の「協力プラン」=(1)健康寿命の伸長 (2)快適・清潔で住みやすく、活動しやすい都市づくり (3)中小企業交流・協力の抜本的拡大 (4)エネルギー (5)ロシアの産業多様化・生産性向上 (6)極東の産業振興・輸出基地化 (7)先端技術協力 (8)人的交流の抜本的拡大

【国際経済本部】

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