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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年2月1日 No.3348 医療分野における番号制度の動向聞く -行政改革推進委員会企画部会・情報通信委員会企画部会

経団連は1月10日、都内で行政改革推進委員会企画部会(大久保秀之部会長)と情報通信委員会企画部会(武山芳夫部会長)の合同会合を開催し、慶應義塾大学SFC研究所の金子郁容主席所員から「医療分野における番号制度の動向」について説明を聞いた。
説明の概要は次のとおり。

■ マイナンバー制度と医療分野における情報連携

医療分野においては、2018年度からの段階的運用、20年度からの本格運用を目標に、後述する医療保険のオンライン資格確認のインフラを活用し、医療機関等間の患者情報の共有や、医学研究におけるデータ管理等に利用可能な「医療等分野の情報連携に用いる識別子」(以下、医療等ID)を導入することが予定されている。医療等IDの導入により、医療機関と介護施設の間における効率的な情報共有や救急搬送された患者の過去の診療情報確認、ビッグデータを用いた医療研究等が可能となる。

■ 医療保険のオンライン資格確認

現行の健康保険証による資格確認では、資格喪失後の未回収の保険証による受診やそれに伴う過誤請求が請求時に判明することとなり、保険者と医療機関の双方にとって負担となっている。そこで、マイナンバー制度のインフラと健康保険の既存インフラをうまく組み合わせることにより、資格確認を確実に実施することが検討されている。

具体的には、マイナンバーカードの電子証明書を医療機関や薬局の窓口で読み取り、受診時やレセプト請求前にオンラインで社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険中央会に資格情報を照会・確認する仕組みを整備することが考えられている。もっとも、個人番号カードを保有していない患者についても円滑な情報連携を確保する必要があることから、健康保険証を用いたオンライン資格確認についても必要だという意見がある。

保険のオンライン資格確認が可能となることにより、保険者や保険医療機関、薬局の業務にかかるコストが年間数十億円、削減されるとの推計がある。

また、協会けんぽと厚生労働省が実施したオンライン保険資格確認事業では、資格確認は数秒で完了したという結果が得られている。医療機関にかかるコストはインターネットの通信料のみであった。

■ 被保険者番号の個人単位化と資格履歴の一元管理

現在の被保険者番号は世帯単位であり、保険者は個人単位での状況把握ができていない。また、各保険者が被保険者番号を付番しており、保険者ごとに資格管理をしている。したがって、加入する保険が変わると個人の資格情報が引き継がれず、継続的な資格管理がなされていない。こうしたことに対応するため、被保険者番号の個人単位化(医療等IDとしての活用も想定されている)および支払基金・国保中央会による個人の資格情報の一元的管理が検討されている。

【産業政策本部】

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