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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年2月22日 No.3351 文科省「センター・オブ・イノベーション(COI)・プログラム」の取り組みを聞く -未来産業・技術委員会産学官連携推進部会

小宮山COI STREAM
ガバニング委員長

経団連は2月2日、東京・大手町の経団連会館で未来産業・技術委員会産学官連携推進部会(五十嵐仁一部会長)を開催し、文部科学省「センター・オブ・イノベーション(COI)・プログラム」の取り組みについて関係者から説明を聞くとともに、意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ あいさつ
(小宮山宏・COI STREAMガバニング委員長、三菱総合研究所理事長)

COIプログラムは、中央・地方にこだわらず“光る”技術を持つ大学にフォーカスするもの。さらに、論文ではなく事業の視点で評価するところも大きな特徴だ。本日は最高評価の4拠点の取り組みを紹介する。

■ COIプログラムの概要
(坂本修一・文部科学省産業連携・地域支援課長)

COIは、10年後の日本が目指すべき社会像「3つのビジョン」から「バックキャスト」により研究開発テーマを設定。企業と大学が一体(アンダー・ワン・ルーフ)となってその実現に取り組む。大学を中心に全国18拠点を設定し、2013年から21年までの原則9年間にわたり支援を行っている。

■ 各拠点の取り組み

○ ビジョン1「少子高齢化先進国としての持続性確保」
(村下公一・弘前大学COI拠点戦略総括)

弘前大学では、弘前市岩木地区の住民に対して05年から2000項目以上の健康データを継続的に収集蓄積した「岩木ビッグデータ」を構築。生活・医療・製薬分野の企業が参画してビッグデータを解析し、疾患予兆方法の開発等に取り組んでおり、21年までに青森県の短命県ワースト1位返上を目指している。

○ ビジョン2「豊かな生活環境の構築(繁栄し、尊敬される国へ)」
(山脇成人・広島大学COI拠点リサーチリーダー、
宮廻正明・東京藝術大学COI拠点リサーチリーダー)

広島大学では、脳波や血流等の脳活動の計測・分析により、感性(ワクワク感など)や五感をはじめとする知覚の可視化技術の研究開発に取り組んでいる。クルマを対象として、感性の可視化技術を搭載したプロトタイプを開発。将来的には、個人の感性・価値観を推測するユーザーモデルの構築等を目指している。

復元されたバーミヤン壁画

東京藝術大学では、芸術と先端技術を融合して、経年劣化や破壊・消失等された文化財を「クローン文化財」として復元する研究開発に取り組んでおり、デジタル技術を駆使してタリバンに破壊されたバーミヤン東大仏天井壁画等を復元した。文化財保護の意義にとどまらず、クローン文化財の国際展開による文化外交・アートビジネスの推進を目指している。

○ ビジョン3「活気ある持続可能な社会の構築」
(三宅徹山形大学COI拠点プロジェクトリーダー、
城戸淳二同拠点卓越教授)

山形大学では、日本型スマート社会の実現に向けて、有機材料と印刷によるデバイス製造技術、ICTの融合による研究開発に取り組んでいる。塗布型有機トランジスタ駆動によるフレキシブルカラー有機ELディスプレイを世界で初めて開発。有機デバイスにより快適空間を提供するスマート未来ハウス等の実現を目指している。

【産業技術本部】

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