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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 週刊 経団連タイムス 2018年4月26日 No.3360 労働市場法の最近の立法動向と今後の課題 -東洋大学大学院の鎌田客員教授が講演/雇用政策委員会

説明する鎌田客員教授

経団連の雇用政策委員会(岡本毅委員長、進藤清貴委員長)は4月6日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、東洋大学大学院法学研究科の鎌田耕一客員教授から「労働市場法の最近の立法動向と今後の課題」をテーマに講演を聞くとともに意見交換を行った。講演の概要は次のとおり。

■ 労働市場法とは

労働市場法とは、人と仕事をつなぐ法律、あるいは外部労働市場の仕組みやルールに関する法律である。雇用関係法(労働者と使用者間のルール)と労使関係法(労働組合等に関するルール)に並ぶ労働法の第三領域といわれており、職業生活の安定、労働力の円滑な需給調整、完全雇用の達成の3つを共通目的としている。職業安定法や雇用保険法、労働者派遣法、障害者雇用促進法、高年齢者雇用安定法等が該当する。

労働市場法には2つの特徴がある。第1は、事業規制法の側面を持つことであり、労働者派遣事業や職業紹介事業等、人材ビジネスの事業活動を労働者保護・救済という名目で規制している。これは他の労働法にはない特徴である。第2は、雇用政策の役割を果たしている点である。資本主義社会において企業に雇用を強制することはできないため、雇用保険2事業による助成金等の財政出動により、国の政策目標の達成や特定の就職困難者の雇用促進を推進している。

■ 最近の法改正

近年の立法(改正)動向としては、障害者差別禁止と合理的配慮の提供義務、精神障害者の法定雇用率の算定基礎への追加等を盛り込んだ2013年の障害者雇用促進法の改正や、新規学卒者に対する雇用情報の提供義務、労働関係法令に繰り返し違反する企業の新卒求人をハローワークが受理しないことを可能とした15年の若者雇用促進法の制定等がある。

また、17年には、職業安定法が改正され、新たに求人メディアも適用対象に加えられた。今後、求人企業からの募集条件はより明確化・適正化が求められることになる。

■ 労働者派遣法の改正

こうしたなか、特に注目を集めたのが15年の労働者派遣法の改正である。

15年改正の特徴としては、(1)労働者派遣事業の許可制への一本化(届出制の廃止)(2)受入期間のルール変更(業務区分から派遣元での雇用契約区分への見直し)(3)派遣労働者のキャリアアップ支援の強化と雇用安定措置――の3点が挙げられる。このうち、(2)については多くの批判を受けたが、制度の適正化に必要な見直しであったと考えている。

また、労働者側から同一労働同一賃金の考え方を導入すべきだとの強い要望があった。職能給が広く普及しているわが国で実現するのは困難な面もあるため、この規定は設けなかった。現在、政府はガイドライン案を作成し、同一労働同一賃金の法制化に向けて動いている。派遣労働者と派遣先の労働者の均等・均衡待遇をどのように図っていくのか注目していきたい。

■ 今後の課題

1000万人程度存在するといわれているフリーランスや自営業者等、雇用によらない働き方をする者の就業環境の整備や就業機会の確保が大きな課題となる。現状では、フリーランスなどには一切規制がなく、クラウドソーシングといった新たな仲介事業も、雇用関係を結ばないため労働市場法の適用対象外となっている。こうした労働法が適用されない分野の秩序づくりが求められる。

【労働政策本部】

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