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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年4月26日 No.3360 フロリダの日米首脳会談とワシントンのB20イベント -ワシントン・リポート<39>

4月17、18の両日、フロリダ州マール・ア・ラーゴで開催された日米首脳会談は、ワシントンでもさまざまに心配して見守る向きが多かったが、友好関係を再確認しつつ双方の立場を反映した合意がなされ、胸をなで下ろした人が多いと感じた。

具体的には、北朝鮮との接触に関して日米が連携し続けることや北朝鮮に非核化と弾道ミサイル計画の放棄を求めることを再確認し、米朝首脳会談において拉致問題が取り上げられることも確認された。また、麻生・ペンス経済対話のもと茂木経済再生担当相とライトハイザー通商代表が「自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議」を開始することになった。

日本メディアのなかには、「蜜月」から「朝貢」といったセンセーショナルな言葉で批判的かつ悲観的に論じる声もあるようだが、米国メディアは比較的冷静に報じている。ワシントンポスト紙は、TPP、通商拡大法232条による鉄鋼・アルミニウム関税賦課、米朝首脳会談などをめぐる日米それぞれのスタンスを説明しつつ、意見の相違があればこそ、日米双方、とりわけトランプ大統領が良好な日米関係の維持に努力すべきだとしている。

ただ、さまざまな記事へのコメント欄には、「トランプ大統領が代表しているのは米国よりも自分自身。TPPは、米国はもちろん加盟国にとってよいディールであり、多国間の協定はあまたある二国間協定よりも関係国に利する」「二国間関係は、リーダー同士の友好関係よりも国同士の公式な関係に帰すべきであり、両者の親密な関係も後継者に拒否されれば非生産的なものとなり得る」といった声も寄せられている。

他方、19、20日にワシントンの全米商工会議所の通称フラッグ・ホールで開催されたB20のタスクフォース会合は、いつもと違う雰囲気だった。まず、議長の英語になまりがある。それもそのはず、今年のB20議長国はアルゼンチンで、正式会合名は「B20 Argentina 2018」。会場で目を引いたAccenture社の参加者も、ブエノスアイレス支社からの役員とスタッフだった。アルゼンチンの金融機関の部長があいさつに来て、柔道の愛好家で黒帯を締めていることを自慢していく一幕もあった。

貿易投資タスクフォースにおける議論では、WTO、OECDさらにはBIAC(OECD経済産業諮問委員会)など、普段ワシントンではあまり耳にしない国際機関の活動に言及があり、「G20の議論もWTOドーハ・ラウンドの議論と軌を一に進めるべきだ」「グローバリゼーションに対応する能力に欠ける中小企業への対策が急務」といった意見も聞かれた。

夕刻には、米国生命保険協議会が連邦議会議事堂を見渡す屋上にしつらえた会場でレセプションをホスト。あいさつのなかで、B20活動に関するアルゼンチン関係者の貢献をたたえるとともに、来年日本で開催予定のB20東京サミットへの期待を表明した。

(米国事務所長 山越厚志)

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