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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 週刊 経団連タイムス 2018年5月24日 No.3362 ビジネススクールの現状と課題聞く -教育問題委員会企画部会

経団連の教育問題委員会企画部会(三宅龍哉部会長)は5月8日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、慶應義塾大学ビジネス・スクール(KBS)の河野宏和校長から「ビジネススクールの現状と課題」について説明を聞くとともに、懇談した。説明の概要は次のとおり。

■ KBSの活動領域

KBSでは、経営人材の育成に向けた教育だけでなく、経営やビジネスに関する研究、それも体系的な理論と実務経験の双方を踏まえた、実践的で最先端の研究の蓄積と発信を行っている。さらに、異業種・異職種・異文化の人材ネットワークを提供している。特に、ビジネスの現場における事例(ケース)の研究とケース教材の開発、そしてそれらの教育への活用は大きな強みと考えている。

■ 日本のビジネススクールの現状と課題

海外のビジネススクールと比較して、日本のビジネススクールは数も少なく、規模(定員)も小さい。小規模であるため、財政上の理由から、必要な数の専任教員が確保できず、教員1人当たりの負担が大きいという課題を抱えるビジネススクールは多い。実際、学部との兼任教員も見受けられる。これでは満足な教育・研究を行うことは困難であり、産学連携も限定的にならざるを得ない。

国際化の遅れも顕著である。ビジネススクールに関する国際機関による認証を得ている日本のビジネススクールは数えるほどしかない。国際認証の取得がすべてではないが、国際的な議論の場でのプレゼンスが低く、フロントランナーとなるための視点やリーダーシップも欠けており、世界の潮流からは周回遅れの状況である。

国際的な認証機関は、世界のビジネスの動向を注視しながらビジネススクールの教育や研究のあり方を評価している。これまではそうした議論における日本の発信力が弱かったため、国際標準を押しつけられたかたちとなっていたが、認証校が増加することで、日本的経営の強みや日本の文化・伝統・価値観などの独自性をより強く発信することができるようになる。国際標準を「守る」側から「作る」側に立つようになる必要がある。

もちろん、国際認証の取得より国際的なレベルの研究教育が優先されることはいうまでもない。一方で、中国・韓国をはじめ各国が国際認証取得への動きを加速させるなか、待ったなしの状況にあるのも事実である。また、未認証であるがゆえに日本の状況を考慮外とされたまま議論が進むと、日本の実情にそぐわない画一的な対応が要求されるリスクがある。これはビジネススクールにとっても産業界にとっても大変なリスクである。

■ 産業界への期待

産業界には、ビジネススクールに求める教育・研究や育成すべき人材像を積極的にかつより具体的に提示してほしい。それとともに、企業で実際に活躍している人材をビジネススクールに多く送り込んでほしい。それが教員の刺激にもなり、教育の質の向上や活性化、ひいては日本の経済社会の発展にもつながっていくと考えている。

【教育・CSR本部】

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