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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年6月21日 No.3366 女性活躍のフロントランナーへの期待 -「第10回リーダーシップ・メンター・プログラム」を開催/國部副会長が講演

國部副会長

経団連は5月30日、女性役員のさらなる活躍を応援する「経団連女性エグゼクティブ・ネットワーク」の活動の一環として、東京・大手町の経団連会館で「第10回リーダーシップ・メンター・プログラム」を開催した。吉田晴乃審議員会副議長・女性の活躍推進委員長をはじめ過去最多となる37名の会員企業各社の女性役員が出席し、國部毅副会長(三井住友フィナンシャルグループ社長)をメンターに迎え、講演を聞いた。講演の要旨は次のとおり。

■ 女性活躍に対する考え・思い、その実現に向けた具体的な取り組み

1980年代のウォートン・スクール(ペンシルベニア大学)の留学経験が、ダイバーシティや女性活躍に対する私の考え方の原点にある。2000年代に入り、欧米の外資系企業等と比べ日本企業での女性活躍が遅れていると感じるなか、銀行も男性中心のモノカルチャーから脱却しなければ、持続的な成長はできないとの思いを強く抱いた。

そうした考え・思いのもとで、私は、三井住友銀行の頭取に就任以降(2011年)、女性が長期的な視点でキャリア形成を展望し存分にその能力を発揮するには、ソフト面の充実が重要との認識に立ち、「トップのコミットメント」「ライフイベントに左右されない環境づくり」「キャリア形成支援」「企業風土の変革」「女性の意識改革」の5つの観点で具体的な取り組みを進めている。なかでも、社内外に対しトップのコミットメントを一層明確化するとともに、女性活躍を中心とするダイバーシティ施策をさらに進化させるために、「ダイバーシティ推進委員会」を設置し(14年)、外部有識者の忌憚ない意見を取り入れながら、横断的・多角的な施策を推進。ワーキングマザー向けの研修や両立支援フォーラムの開催に加え、女性のキャリア形成支援では、若手から管理職層まで幅広な取り組みを行っている。また、こうした取り組みがしっかり組織に根付いていくよう、経営層も含め男性管理職を中心とした意識改革や、女性リーダーを育てるという強いコミットメント等を通じて女性自身の意識改革にも働きかけている。

今後、女性活躍を着実に実現していくためには、「トップがコミットし続けること」「絶え間なく取り組みを進化させていくこと」「組織全体に意識を浸透させていくこと」の3点が不可欠と考える。とりわけ、企業のトップが「女性活躍に本気で取り組む」という考えを粘り強く伝えていくことが、組織の変革を促し、企業において女性活躍が定着していく大きなカギとなる。

■ 女性役員の皆さんに期待すること

わが国全体でみると、女性活躍の進捗は道半ばであり、現在は、女性活躍が企業業績の向上や経済成長につながっていくかの分岐点にある。そうしたなかで、女性役員の皆さんには、(1)拡大が見込まれる女性市場における新たな商品・サービスの創出や、働きやすい職場環境の構築といった組織運営の変革において、女性起点の発想や視点を発揮すること(2)これまでのキャリアで培った専門性・得意分野の視点に基づき経営に積極的に参画すること(3)企業の経営環境が急激に変化するなかで臆することなく率直にそうした意見を述べること――の3点を期待している。さらに、わが国の女性活躍のフロントランナーでもある皆さんには、「自分らしさを失わず、失敗を恐れず果敢に行動し、自らのリーダーシップを追求・発揮」するとともに、「わが国の女性がその能力を十分に発揮し活き活きと活躍できる社会の実現の先導役」となっていただきたい。

◇◇◇

講演後、女性役員のあるべき姿や経営者としての考え方等について活発な意見交換が行われ、國部副会長から多岐にわたるアドバイスが送られた。

【ソーシャル・コミュニケーション本部】

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