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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年6月21日 No.3366 GPIF「スチュワードシップ活動に関するアンケート結果」 -年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に説明を聞く/金融・資本市場委員会資本市場部会

経団連は5月25日、東京・大手町の経団連会館で金融・資本市場委員会資本市場部会(松山彰宏部会長)を開催した。年金積立金管理運用独立行政法人(以下、GPIF)の水野弘道理事(管理運用業務担当)ら2名から、今年4月にGPIFが公表した「第3回機関投資家のスチュワードシップ活動に関する上場企業向けアンケート集計結果」(※)について説明を聞くとともに意見交換を行った。
同アンケートは、東証一部上場企業が対象。機関投資家のスチュワードシップ活動およびエンゲージメント(投資家と企業の建設的な対話)の実態や企業のESG(環境・社会・ガバナンス)活動への取り組みを取りまとめたものであり、600社を超える上場企業が回答した。
GPIFの説明の概要は次のとおり。

■ 着実に根付くスチュワードシップ・ESG

アンケートでは、約4割の企業が「機関投資家の活動に好ましい変化があった」と回答し、機関投資家によるスチュワードシップ活動が、日本の資本市場に着実に根付きつつあることが明らかとなった。

また、日本企業のESG活動についても、企業価値向上やリスク低減の手段として位置づけ、本腰を入れた取り組みを進める企業が増加している様子がうかがえる。

■ 長期目線とポジティブ・スクリーニングによるESG投資

こうしたなかGPIFは、運用受託機関やESG指数会社と、「長期目線での投資」という方針を共有し、また、ESG指数においては「ポジティブ・スクリーニングによる投資先選択」の手法を採用することで、世界最大のアセットオーナーとして、より実効性のあるESG投資を目指す。

具体的には、運用受託機関に、投資先企業とESGを含めた非財務情報について活発な対話をするよう促す。また、ESG指数の構築においては、銘柄選定の母集団から特定の業界(構造的に環境負荷の重い業界など)を除外せず、すべての企業を同じ評価軸で評価し選定する。投資後は、対話を通じて各社にESG活動の強化を促す、というサイクルを確立することで、真に社会の課題解決に資するESG投資を目指す。

■ グローバルに注目される市場を目指して

日本のESG投資への始動が他国に比べて遅かったこともあり、海外の投資家からは「日本の企業はダメだ。投資家が何も言わないうえにESGの取り組みも遅れている」と苦言を呈されたこともある。

ただし、この1年間、スチュワードシップ活動の高まり、日本独自のESG投資の開始、政府や経団連のSDGs(持続可能な開発目標)に対するコミットメント等を背景に、日本市場は再び海外投資家の注目を集めつつある。

GPIFは、世界の投資家との対話を通じて、こうした流れをさらに推し進めていきたいと考えている。日本企業においては、海外投資家からの評価をより高める意味でも、いっそうESGへの取り組みを進めていくとともに、評価に資する情報の開示を積極的にお願いしたい。

【経済基盤本部】

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