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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年8月2日 No.3372 サプライチェーン全体の最適化に向けた施策をめぐり経産省と意見交換 -運輸委員会物流部会

経団連の運輸委員会物流部会(坂元誠部会長)は7月13日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、経済産業省商務・サービスグループ消費・流通政策課物流企画室の伊奈友子室長から、サプライチェーン全体の最適化に向けた施策について説明を受けるとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 国内物流の生産性向上に向けた取り組み

近年、電子商取引(EC)市場の拡大に伴い、宅配便の取扱件数は急増している。そうしたなか、若手人材の確保が困難となりトラックドライバーの高齢化が進むなど、物流業界の人手不足感は一段と強まるばかりである。また、特有の産業構造や商習慣、貨物の小口化・多頻度化の昂進等を背景に、物流業の生産性は他産業比で低水準にとどまっている。

このような状況下、経済産業省と国土交通省は、2017年7月に「総合物流施策大綱」を取りまとめた。同大綱では、物流を日本の産業競争力の強化、豊かな国民生活の実現と地方創生を支える社会インフラと位置づける。そのうえで、社会状況の変化や新たな課題に対応可能な「強い物流」を構築するために、生産性向上に向けた多様な施策の推進を打ち出した。施策の一例に、RFIDの普及に向けた取り組みがある。17年4月、経産省とコンビニ5社は「電子タグ1000億枚宣言」を、18年3月には日本チェーンドラッグストア協会と「ドラッグストア スマート化宣言」を策定した。これにより、単価低減(1円以下)を前提に全商品に電子タグを貼付し、個品管理の実現および取得した情報の一部のサプライチェーンへの提供を検討する。引き続き、電子タグの製造コスト削減等に向けた研究開発を推進していきたい。

また、経産省を挙げて、Connected Industriesの構築を推進している。これは、事業所・工場、技術・技能等の電子データを連携し、技術革新、生産性向上等を図るものであり、サプライチェーン全体の最適化にも資する。さらには、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の第2期課題に「スマート物流サービス」が取り上げられた。今後、関係府省が連携し、物流・商流データプラットフォームの構築、「モノの動きの見える化」技術の開発、「商品情報の見える化」技術の開発に向けて議論を深めていく。

■ 国際物流の課題と各種の活動

国際物流に関しては、わが国コールドチェーンシステムのサービスやノウハウの国際規格化・標準化を推進している。また、人材育成の観点から、物流・ロジスティクスに関する日本の資格認定制度をタイ、インドネシア等のアジア諸国に移管する事業を展開している。

生産性向上とリードタイム短縮に向けて、港湾貿易の電子化にも取り組んでいる。NACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)による行政手続きの電子化が進むのに対し、民間手続きの一部の過程でデータ入力や確認作業が発生している。そこで、貨物や手続き等に関するデータ連携・共有を可能とするシステムを構築し、電子化対応が進まない事業者を含む関係者が、特定の港湾で実証・効果検証を行う予定である。

物流の効率化に向けた課題には、長年議論されているものも多い。最近では、人手不足による物流への危機感が高まっている一方で、課題解決につながるテクノロジーが発達してきている。そうした状況を踏まえつつ、サプライチェーン全体の最適化に取り組んでいきたい。

【産業政策本部】

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