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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 週刊 経団連タイムス 2018年8月2日 No.3372 最高裁判事承認をめぐる攻防 -ワシントン・リポート<44>

7月26日、連邦議会下院は1カ月以上にわたる夏季休会に入った。例年、ワシントンDCの8月は、上下院とも9月初旬のレイバー・デー明けまで夏季休会であるため、夏休み気分が広がる。しかし、今年はマコーネル上院共和党院内総務が6月5日の時点で、連邦裁判所判事や行政府幹部の承認の遅れを理由に夏季休会の短縮を発表し 、様相が異なっていた。そこへ、6月27日にケネディ最高裁判事が引退を表明し、上院の承認事項のなかでも最も重視される後任最高裁判事承認も加わり、注目の夏となりそうだ。

米最高裁判事一覧

米国の最高裁判事は9名であり、保守派がケネディ判事を含めて5名、リベラル派が4名とみられている。ケネディ判事は、保守派判事のなかでは特に同性婚などの社会問題については中道寄りであることから、しばしばキャスティングボートを握る「Swing Justice」といわれていた 。トランプ大統領がその後任として指名した、より確かな保守派とみられるカバノー連邦控訴裁判事が承認されれば、30年来の保守派の悲願であった最高裁における安定した保守派多数派が実現する。2016年の大統領選の際、保守派支持のつなぎ留めに大きく寄与したのが最高裁問題であり、昨年のゴーサッチ判事就任も保守派に高く評価されたことから、共和党は団結し、意気が上がっている。

一方の民主党側は悲嘆にくれ、憤怒に燃えている 。その背景には、16年2月に急死した保守派のスカリア判事の後任にオバマ大統領がガーランド連邦控訴裁判事を指名したにもかかわらず、上院多数派の共和党が大統領選後まで審議を拒否し、トランプ大統領が指名したゴーサッチ判事が就任したという経緯がある。一気に最高裁のバランスをリベラル多数へ逆転させるチャンスを奪われた悔しさが残っている 。しかし、現実として上院は僅差ながらいまだ共和党多数であり、カバノー氏の承認阻止は難しいが、支持者の突き上げに遭っているトランプ支持州の民主党上院議員たちは、中間選挙前に苦渋の決断を迫られることになる 。

ケネディ判事が同僚の保守派判事と意見が分かれたのは主に社会問題であり、規制強化に走る行政機関の牽制などビジネス界にとって重要な経済問題に関しては足並みをそろえがちであった 。とはいえ、カバノー氏の方が憲法の原文や制定時の解釈に忠実なオリジナリストとして、オバマ政権下の連邦通信委員会や消費者金融保護局などの行政機関の暴走に懐疑的な見解を示しており、一層ビジネスフレンドリーな立場を取ることを期待する声もある 。

今回は保守派判事の後任としての保守派判事承認であるが、現在最高裁最年長の2人の判事(85歳と79歳)はリベラル派である。トランプ大統領在任中にどちらかが引退することになり、保守派が後任指名されれば、最高裁におけるイデオロギー的バランスの大幅な変化を意味し 、その承認をめぐる両党対立はさらに激しいものとなることが予想される。

【米国事務所】

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