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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 週刊 経団連タイムス 2018年9月20日 No.3377 欧州のCircular Economy(CE)が目指すもの -21世紀政策研究所 解説シリーズ/21世紀政策研究所研究委員(日本生産性本部エコ・マネジメント・センター長) 喜多川和典

喜多川研究委員

■ 欧州のCEの背景とCE型ビジネスモデルの基本型

EUが提唱するCircular Economy(CE)政策とは、簡略化していうならば、経済活動における資源消費への依存度を減らすことを目的としている。単なる売り切りから、製品の機能・利便価値をサービス化して提供し、その間、利用する製品を、リファービッシュ、再製造、アップグレードなどのいわゆる「リユース型のライフサイクル管理」をしっかりと行うことで長寿命化を促進するビジネスモデルの開発と取り組みを重視する政策である。

これまでも、製品や部品のリユース活用については、さまざまな取り組みがあったが、なかなか実現し得なかった。しかし、近年、デジタル技術やビジネスモデルの登場がみられ、それらをベースに再びリユース型製品管理の可能性を追求する機運の高まりがCEへとつながっている。そうした代表例には、デジタル・プラットフォーム型のビジネスがあり、製品をシェアリングなどのサービス化を通して提供することでビジネスを拡大する可能性がある。

このようなビジネスモデルは、PaaS(Product-as-a-Service)型と呼ばれ、コスト構造は、「製品にかかわるコスト」と「サービスにかかわるコスト」の2つに大別される。ライフサイクルでみた製品関連コストを下げようとする場合、ある程度長期間使った製品であっても、従来のように廃棄またはリサイクルするよりも、製品・部品の状態で残存している価値を再活用(リユース)すれば、結果的に製品関連コストを下げ、競争上優位になる。そこにデジタル技術を加えることで、製品のリユースやシェアではユーザーを満足させられないというこれまでの課題をクリアしたうえで、CEが重視する製品・部品の循環利用とも調和する可能性を見いだすことができる。

しかしながら、このようなことは、製品の設計から使用済みまでの全ライフサイクルにかかわるビジネスのあり方に多大な影響を及ぼし、経済全体の変革をもたらす可能性がある。

■ CEの国際標準化に向けた動き

2018年6月、フランス規格協会はISOに、CEに関する新しいTC(専門委員会)の設置を求める提案書を提出した。このなかで、CEにかかわるマネジメントシステムの規格化が提唱されている。組織は、CEの進捗を検証するための要求事項を設定し、環境・経済・社会にかかわるパフォーマンスを改善するために実施する管理システムの要求事項を規定する。この規格は、あらゆる規模、種類、性格の組織に適用可能であるとし、組織の事業、製品、サービスに適用され、ライフサイクルを考慮した管理を促し、組織管理全般に影響を及ぼすツールとする考えが示されている。また、要求事項をすべて満たされた場合にのみ“適合宣言”を出すことが可能であるが、同協会の案では第三者認証の必要性を示唆している(図表参照)。

CEマネジメントシステムが対象とする範囲とプロセス(イメージ)

■ 最後に

あらためてCEとは、産業革命以後、今日まで続いてきたモノ中心の経済システム(リニアエコノミー)から、デジタル技術を駆使するなどして、これまでできなかった資源・生産・製品の管理、シェアリング、インフラ型ビジネス、サービス化など、新しい経済システムへと転換することを目指す、“環境の威”を借りた欧州の経済・産業政策であるといえる。第4次産業革命の最重点分野であるデジタル型ビジネスモデルに、欧州流のCE型の規格・基準、ルールを融合させ、その分野での競争優位をねらう、戦略的な政策ツールであるとも考えられる。対する日本としては、日本の強みを生かしつつ、どのように次世代のビジネストレンドに適合する新世代の産業構造へ転換していくかが問われることになる。

【21世紀政策研究所】

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