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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年9月27日 No.3378 第24回日本トルコ合同経済委員会をイスタンブールで開催

経団連の日本トルコ経済委員会(山西健一郎委員長、斎藤保委員長)はトルコ・イスタンブールを訪問し、9月19日、トルコ海外経済評議会(DEIK)トルコ日本経済委員会のシェリフ・トスヤル委員長と山西・斎藤両委員長を共同議長とする第24回日本トルコ合同経済委員会を開催した。

2016年7月に発生したクーデター未遂事件等をはさんで3年ぶりの開催となった同委員会では、ムスタファ・ヴァランク産業科学大臣、ムラット・メルジャン駐日トルコ大使、宮島昭夫駐トルコ日本大使を来賓に迎え、日本・トルコ双方の関係者約500名が参加し、終日熱のこもった議論が行われた。

なお、トルコ訪問に先立ち、5日に結団式が行われ、外務省の岡浩中東アフリカ局長、井出敬二特命全権大使、経済産業省の吉田泰彦通商政策局通商交渉官から、トルコの内政や外交、日トルコ経済連携協定(EPA)交渉の現状、二国間経済関係の課題、今後の展望等について説明があった。

合同経済委員会における各セッションの議論の概要は次のとおり。

■ トルコのビジネス環境整備

第1セッションでは、現在交渉中の日トルコEPAや対トルコ直接投資の拡大に向けた課題、日本とトルコにおける投資機会等、二国間経済関係のさらなる発展に向けた制度上のインフラ整備等について意見を交わした。

とりわけ、トルコ側から、19年6月に大阪で開催されるG20サミットをターゲットに、互恵的なEPAの締結を目指す、との意欲が表明された。

これに対し経団連側は、自動車基幹部品等の関税撤廃を含む市場アクセスの改善、就労許可・滞在許可の発給要件緩和、トルコ独自のRUSF(与信を伴う輸入に関する関税)制度の撤廃や徴税制度の透明性確保のほか、日本企業が直面する課題の解決に資する、包括的かつ高水準のEPAの早期締結が不可欠、という基本的な考え方を示した。

あわせて、トルコの病院施設運営事業への両国企業による共同参画という、昨年の対トルコ大型直接投資における政策金融の活用例等も紹介された。

■ 互恵的パートナーシップの構築を促進する個別産業分野

続く第2セッションでは、23年のトルコ共和国建国100周年に向けた旺盛なインフラ需要やエネルギー消費拡大を背景に、これら分野を中心とした個別の取り組み事例が紹介された。具体的には、鉄道や橋梁等のインフラ整備、原子力や再生可能エネルギー、液化天然ガス(LNG)等のエネルギー供給、さらには、第三国における両国企業の連携のポテンシャル等、分野横断的なテーマについても活発な議論が展開された。

両国の互恵的なパートナーシップをいかに構築していくかという観点から、トルコ側はとりわけ、長年の経験と強みを有するアフリカ市場への共同進出に強い関心を示した。

一方、経団連側からは、東日本大震災後のエネルギーをめぐる現状を紹介しつつ、電源構成における再生可能エネルギーと原子力発電の比率を高め、エネルギー自給率を向上させることが両国共通の課題であること、また、課題克服に向けてエネルギー分野で協力することの重要性を指摘した。

■ 二国間経済関係の拡大・深化に向けた具体的な方策

最後の第3セッションでは、これまで両国企業が築いてきた成功事例も共有しながら、二国間ビジネスをさらに発展させるために、どのような方策が求められるのか、今後を前向きに展望した。

トルコ側から、合金やバッテリー等の自動車部品製造にかかる合弁事業や、マグロやサケ等の水産物貿易といった、日トルコ双方の関心が高い産業分野における具体例について紹介があった。

経団連側からは、トルコ鉄鋼業の高付加価値化への貢献や、トルコへの日本人観光客誘致促進に向けた取り組み、さらには、経団連が推進するSociety 5.0を通じた二国間関係の緊密化のポテンシャル等を説明するなど、双方向で建設的な意見交換が行われた。

■ 主な成果と今後の取り組み

包括的で質の高い日トルコEPAの早期実現を求める共同声明に署名

経団連ミッションの4年ぶりのイスタンブール訪問は、トルコの官民、メディアの広範な関心を集め、レセプション等を活用したビジネス交流も活況を呈した。

とりわけ、ヴァランク産業科学大臣立ち会いのもと、経団連とDEIKが共同声明に署名、両国政府に対し、包括的かつ高水準の日トルコEPAの早期実現を直接強く訴求した意義は大きい。

アジアの東端に位置する日本が世界の自由貿易を牽引する一方、アジアの西端をにらむトルコは欧州連合(EU)との関税同盟や、中東・アフリカ諸国等と自由貿易協定(FTA)を数多く締結し、自由貿易のネットワークを拡大しようしている。

14年12月以来これまで11回もの会合を重ね、日トルコEPA交渉が佳境を迎えるなか、ヒト・モノ・カネ・サービス・データが、自由かつ円滑に両国間を移動できるようなEPAが締結された暁には、互いのFTA網を活用して、より戦略的なビジネス展開が可能になる。

二国間経済関係の拡大と深化という観点から、経団連では引き続き、包括的で質の高い日トルコEPAの早期締結を関係方面に働きかけていく。

【国際経済本部】

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