1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2018年10月25日 No.3382
  5. 社会保障協定をめぐる最新の動向について聞く

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 週刊 経団連タイムス 2018年10月25日 No.3382 社会保障協定をめぐる最新の動向について聞く -通商政策委員会企画部会

経団連の通商政策委員会企画部会(神戸司郎部会長)は9月26日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、厚生労働省年金局の藤田一郎国際年金課長から、社会保障協定をめぐる最近の状況について説明を聞いた。説明の概要は次のとおり。

■ 社会保障協定締結の意義

企業活動のグローバル化に伴い、国家間の人的・経済的交流が一層加速するなか、海外駐在員の年金等について、主に2つの問題が顕著になっている。第一に、自国の公的年金制度と相手国の公的年金制度のもとで二重に保険料を支払うことを余儀なくされるという年金保険料の二重負担がある。第二に、外国への派遣期間中のみ相手国の公的年金制度に短期間加入しても、老齢年金の受給資格要件としての加入年数を満たすことができず、相手国で負担した保険料が掛け捨てとなるという問題がある。

これらを解決するために、わが国としても、諸外国との社会保障協定の締結を推進している。その主な内容は、(1)就労地国である相手国の制度のみに加入することを原則としつつ、派遣期間が5年以内の場合には、当該期間中は自国の制度のみに加入する「適用調整」、(2)両国の年金制度への加入期間を通算して、年金の最低加入期間以上であれば、それぞれの国の制度への加入期間に応じた年金がそれぞれの国の制度から受けられるようにする「加入期間の通算」である。

■ 各国との協定の最新の動向

日本が締結した社会保障協定は、現在、欧米を中心とする18カ国との間で発効に至っているほか、3カ国(イタリア、スロバキアおよび中国)と署名済みである。また、日系企業の保険料負担、企業や経済団体からの要望、相手国との社会保障制度の違い等を総合的に勘案しつつ、優先度の高い4カ国(スウェーデン、フィンランド、トルコおよびオーストリア)との間で交渉あるいは予備協議を進めている。

中国については、今年5月に協定の署名に至り、現在両国において発効に向けた準備を進めている。中国においては、2011年7月に施行された社会保険法により外国人に対する社会保険の適用が明記されて以降、保険料二重払いの問題が発生していた。経済界からの強い要望を受けて、同年10月から政府間交渉が開始された。協定には、二重負担防止(適用調整)が規定された一方、通算の規定は含まれていない。

ベトナムについても、経済界からの要望が強いことを承知している。日本政府としては現在、互いの社会保障制度について情報交換を進めている。今年1月にベトナム社会保険法が改正され、外国人労働者に対する強制加入社会保険への加入が義務づけられた。現時点では、社会保険が適用される外国人労働者の範囲を定める政令が未施行であるが、その内容次第では、在ベトナムの日本人駐在員も対象になり、二重負担が発生する可能性がある。政令の内容や施行の状況を含め、動向を注視している。

【国際経済本部】

「2018年10月25日 No.3382」一覧はこちら

「週刊 経団連タイムス」一覧はこちら