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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年11月1日 No.3383 「職業安定行政の主要課題と今後の方向性」を聞く -雇用政策委員会政策部会

経団連は10月10日、東京・大手町の経団連会館で雇用政策委員会政策部会(今木繁行部会長)を開催し、厚生労働省の田畑一雄大臣官房審議官から「職業安定行政の主要課題と今後の方向性」について説明を聞いた。概要は次のとおり。

■ 雇用情勢改善下での人手不足への対応

これまで職業安定行政は失業対策中心だったが、現在は人手不足への対応が主要課題となっている。今年8月の完全失業率は2.4%と完全雇用状態にあり、有効求人倍率は1.63倍と求人が求職を大幅に上回っている。とりわけ、人手不足感の強い建設、看護、介護、保育、サービス、輸送・機械運転等の職種では就職希望者が少ないうえ、若者の離職率が比較的高く、定着率の向上が必要である。

厚労省は、2018年度予算において、雇用管理の改善や生産性向上、職業訓練の実施に取り組む事業主への助成金の拡充、ハローワークにおけるマッチング支援の強化等の施策を展開し、人手不足問題に対処している。

■ 高齢者雇用の促進に向けて

現行の高年齢者雇用安定法のもとで、昨年6月1日時点で99.7%の企業が65歳までの雇用確保措置を実施している。60歳代後半の高齢者も60歳代前半と遜色なく就労意向が強いものの、就業ニーズと実際の就業率にギャップが生じている。また、就業理由も多様化しており、多様な就業機会の提供が課題となっている。

安倍首相からは、10月5日の未来投資会議において、生涯現役社会の実現に向けて、65歳以上への継続雇用年齢引き上げに向けた検討を行うとの指示が出ている。今後は、経済界の意見も聞きながら対応を検討したい。

■ 今後の障害者雇用対策のあり方

障害者雇用に関して、民間企業での雇用者数は14年連続で過去最高を更新し、実雇用率は昨年6月1日時点で1.97%まで上昇するなど、着実に進展しているものの、近年増えている精神障害者の職場定着率の向上や、中小企業における雇用促進等の課題がある。今年7月に「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」が取りまとめた報告書では、障害特性が多様化するなかでの雇用の質に着目した取り組みの必要性を指摘するとともに、中小企業における推進策や、障害者雇用率と納付金制度のあり方についても必要な見直しを提起している。労働政策審議会障害者雇用分科会では、より具体的な議論を進めていく予定である。

■ 外国人労働者の受け入れ拡大に向けて

日本で就労している外国人は、昨年10月末時点で過去最高の約128万人に達している。

今回、深刻な人手不足に対応するため、一定の専門性・技能を有する外国人材を受け入れる在留資格制度を創設する方向となった。新制度では、生産性向上や国内人材確保の取り組みを行ってもなお必要と認められる業種に限って、技能水準や日本語能力水準を確認し、通算5年の在留期間を認める見込みである。あわせて、地域社会等での生活面での環境整備、外国人の雇用管理の確保等共生のための対応も進めていく必要がある。

【労働政策本部】

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