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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年11月22日 No.3386 地域性を活かした都市開発を推進 -Radius Indiana一行との昼食懇談会を開催

経団連のアメリカ委員会企画部会(守村卓部会長)は10月30日、インディアナ州南西部8郡(レイディアス地域)の経済開発機関Radius Indianaが率いる訪日団一行と懇談した。Radius IndianaのクワイルCEOをはじめ、ウェルマン・ワシントン市長やヨッカム・ビンセンス市長らが参加した。インディアナ州側の発言の概要は次のとおり。

■ レイディアス地域の特性

レイディアス地域の知名度はまだあまり高くなく、進出日本企業も少ないのが実態である。しかし、質の高いビジネス資源を有しており、これらは日本企業にとっても有用であると確信している。そのなかでも特に、レイディアス地域が持つ3つの優位性を紹介したい。

1つ目はインフラ設備である。近年、インディアナ州北東部の工業地帯およびデトロイトや五大湖周辺の主要都市との間を結ぶ州間高速道路I―69が開通し、近隣地域とのアクセスが格段に向上した。これにより、人の流れや物流の大幅な円滑化が実現した。レイディアス地域は製造雇用指数が高く、全国平均の約2倍にも及ぶ。現地企業も積極的に職業訓練に投資を行っているため、生産性も高い。これらは、インフラ整備によってもたらされた結果であるといえる。

2つ目の優位性は、労働力が安定的に提供できることである。レイディアス地域では、地元の企業と28の高等学校とが連携し、職業体験などの取り組みを行っている。ビンセンス大学と提携したインターンシップ制度導入など、労働に関する教育や職業訓練強化に積極的に取り組んでいる。

3つ目が、企業の成長を促すための奨励金制度であり、インディアナ州で唯一の仕組みである。RIF(Regional Impact Fund)と呼ばれるもので、企業の成長インセンティブとしてインフラや機器への投資、労働者トレーニングなどを対象に付与される。

■ アクセス向上による今後の発展に期待

クレーン海軍基地は、世界第3位の規模を誇る海軍基地であり、インディアナ州内唯一の連邦研究施設である。約6000名が雇用されており、3000名の技術者と100名以上の博士号を持つ科学者が含まれる。当該研究施設が所在するマーチン郡は、STEM(Science, Technology, Engineering and Mathematics)関連分野に就労する専門職の人口密度が全米第4位と高く、今後、クレーンを核とするテクノロジーパークがレイディアス地域の発展を牽引していくだろう。クレーンは、パデュー大学などのエンジニアスクールを持つ大学と連携しており、エンジニア不足に悩む進出企業への人材紹介なども期待できる。テクノロジーパークにはスタートアップ企業が進出してきており、今後ますます活性化することが予想される。

I―69の開通により、今まで接点がなかった都市ともつながることができるようになり、土地、労働力および物流の観点で、レイディアス地域は新たなチャンスを手に入れた。インディアナ州は元来、日本に対して友好的な地域であり、ぜひ多くの日本企業に進出してもらい、現地のさらなる発展に協力してほしいと考えている。

【国際経済本部】

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