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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年11月22日 No.3386 「人生100年時代の人材と働き方」について聞く -雇用政策委員会人事・労務部会

経団連の雇用政策委員会人事・労務部会(國分裕之部会長)は10月31日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、内閣府の茨木秀行参事官から「平成30年度年次経済財政報告―『白書』=今、Society 5.0の経済へ―」について説明を聞いた。概要は次のとおり。

■ 技術革新による業務の代替の可能性や働き方の変化

今後、AI等の新技術の進展により、定型的作業等が代替される一方、専門性の高い業務や接客等のコミュニケーション能力が必要な業務が増えることが見込まれる。実際、アメリカやドイツなどITの活用が進んでいる国では、定型的作業が少なく、分析や接客等の非定型的作業が多い。しかし、ITを使う頻度が比較的少ない日本は、人が定型的作業をしている量が多い状況にある。

また、新技術の導入に取り組んでいる企業では、テレワークやフレックスタイム制といった柔軟な働き方を積極的に導入する傾向にある。

■ IT人材の育成

日本は専門的なIT人材が不足しており、その育成が急務である。欧米のIT人材は5割以上が非IT企業に所属しているが、日本では7割以上がIT企業に所属しており、一般の企業内にIT人材が少ない。

日本企業における先端IT人材の補強は、外部委託や中途採用等の方法が主体であり、自社従業員の教育による割合は低い。

IT人材の充実に向けて、IT分野の高い専門性を持つ学生を大学が輩出できるよう、カリキュラムや定数の柔軟な見直しが求められる。また、IT分野はスキルの陳腐化が早いことから、リカレント教育の充実など、大学等が担うべき役割は大きい。

■ 企業の教育訓練

企業は労働時間の相当な割合を教育訓練(OJT・OFF‐JT)に割いている。特に、従業員が若い企業や新技術導入を進めている企業は教育訓練に積極的である。

教育訓練や自己啓発支援等の人的資本投資を増やすと、労働生産性にプラスに働き、特に労働生産性が低い企業ほど投資効果が高まる。

技術革新に対応し、生産性を上げるためには、企業内訓練とともに、リカレント教育等の自己啓発を促進することが重要になる。

■ 社会人の学び直しの効果と課題

自己啓発に取り組むことは、年収、就業確率、専門的な業務に就く確率を高める効果がある。自己啓発は、通学、通信教育、書籍、セミナーのいずれも一定の効果が期待できる。

しかし、日本は国際的にみて教育機関で学び直しを行う人が少ない。学び直しの促進のためには、大学等がより実践的で質の高い学び直しの機会を提供すること、そして、企業がワーク・ライフ・バランスを促進し、自己啓発の成果を適切に評価することが重要となる。

【労働政策本部】

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