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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 週刊 経団連タイムス 2018年12月13日 No.3389 日本公認会計士協会から監査報告書の長文化にあわせ策定される監査人の実務指針案について聞く -金融・資本市場委員会企業会計部会

経団連は11月14日、東京・大手町の経団連会館で金融・資本市場委員会企業会計部会(野崎邦夫部会長)を開催し、日本公認会計士協会の高濱滋副会長、住田清芽常務理事から、監査報告書の長文化にあわせ策定される監査人の実務指針(監査基準委員会報告書、以下、監基報)の公開草案について説明を聞いた。概要は次のとおり。

■ 監査報告書の長文化

監査基準の改訂に伴い、金融商品取引法に基づき提出される監査報告書に、これまで記載の監査意見に加えて「監査上の主要な検討事項」(Key Audit Matters、KAM)を記載し、監査報告書を長文化させる対応が2021年3月期決算から求められる(8月9日号既報)。

■ KAMの目的・性質

KAM導入の目的は、監査プロセスを説明することにより、監査の透明性を高め、監査報告書の情報価値を向上させることにある。したがって、KAMは監査意見の形成には影響せず、監査人は個々のKAMについて監査意見を述べるものではない。

■ KAMの選定

KAMはリスク・アプローチに基づき、監査人が当年度の監査の過程で監査役等と協議した「重要な事項」(経営者と監査人との間で協議した重要な事項を含む)のなかから2段階で絞り込み、選定される。

まずは、特別な検討を必要とするリスク、見積もりの不確実性が高いと識別された事項など経営者の重要な判断を伴う事項の監査人の判断の程度、当年度発生した重要な事象または取引などを考慮して、「重要な事項」のなかから「特に注意を払った事項」を絞り込み、そのうえで「特に重要であると判断した事項」に絞り込まれ、KAMが選定される。

絞り込みは、各企業の監査における相対的な重要性に基づき行われるため、企業間でKAMの記載項目を一致させる必要はない。

■ KAMの記載

KAMは監査報告書上に単独の区分を設け、監査意見とは別に記載する。当該区分には、個々のKAMごとに、関連する財務諸表の開示があればそれへの参照、KAMの内容、その選定理由、監査上の対応を記載する。KAMは監査プロセスを説明するものであるから、その記載ぶりが各企業でそろうものではない。

KAMの記載にあたり、未公表情報を不用意に使わないよう注意喚起している。IRでの開示情報など財務諸表に記載のない情報は公表情報として取り扱われるため、監査人はその情報を利用してKAMを記載することがある。ただし、それらは監査対象外であるためKAMでの当該情報への参照は不要である。

<質疑応答>

質疑応答では、KAMの目的はあくまでも当年度の各企業の監査プロセスの開示であり、企業間の記載ぶりを比較したり、その個数や長さで評価したりするものでないこと、同一企業の時系列での記載内容は企業の状況が変わらなければ同じ項目が記載されることもあることが確認された。

日本公認会計士協会は、今回の公開草案で寄せられた意見をもとに、19年3月までに監基報を確定して公表するとしている。また、 KAM導入にかかる監査実務に資するQ&A等の資料の作成も今後予定している。

【経済基盤本部】

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