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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年1月10日 No.3391 仕事と介護の両立支援セミナー・福岡を開催 -働き方改革 toward Society 5.0

経団連は12月5日、福岡県経営者協会(竹島和幸会長)との共催により福岡市でセミナー「仕事と介護の両立支援の一層の充実に向けて~企業におけるトモケアのススメ」を開催し、地元企業等から約220名が参加した。概要は次のとおり。

■ 基調講演「介護離職から社員を守る」
三菱UFJリサーチ&コンサルティング・矢島洋子執行役員・主席研究員・共生社会部長

仕事と介護の両立支援は、介護の実態を知ることから始まる。正社員として働きながら介護している人の生活をみると、日々の対応として、「買い物・ゴミ出し」「声かけ・見守り」などに時間が割かれている。他方、月・年に数回の対応として、「入退院の手続き」「介護サービス・役割調整」「通院・外出の手助け」などがある。こうした実態を多くの人が理解する必要がある。

管理職が支援制度を利用したことによる長期的な昇進・昇格への影響を企業に調査したところ、「わからない」との回答が最も多かった。制度を利用するとどのような評価を受けるのかルールを明確にしていない企業は多く、育児支援を参考に社員に明示することが考えられる。

企業が介護離職から社員を守るためには、(1)実態・ニーズ把握(2)両立支援の方針の明示(3)介護に直面する前からの情報提供(4)管理職の理解促進(5)柔軟な働き方が可能な職場環境づくり(6)柔軟な働き方に即した人事評価制度の構築(7)介護者同士のネットワーク支援――に取り組むことが望ましい。

■ 企業の取り組み

  • 岩田屋三越(井上真紀・総合企画部人事・人財開発担当長)
    シフト勤務で働く百貨店の特性を踏まえ、勤務時間・シフトパターンを多様化した勤務時間制度を導入している。同制度は、処遇の均等・均衡の観点から、正社員、契約社員にかかわらず利用できる。また、介護の経験は、百貨店が求めるホスピタリティーに合致することから、介護を理由に他社を離職した人を積極的に採用している。今後は、社員が「隠れ介護者」にならないよう役職者・男性の支援制度の利用促進、テレワーク等の柔軟な働き方の実現に取り組みたい。

  • 総合メディカル(伊藤正徳・人事本部ダイバーシティ推進グループシニアマネージャー)
    社是やダイバーシティ方針に基づき両立支援を行っている。具体的には、介護に関する情報提供や柔軟な働き方を可能とする制度(時間単位年休、時差出勤、テレワーク等)の整備に取り組んでいる。さらなる職場環境の整備に向けて、管理職の相談対応力を高める教育や外部相談窓口の利用促進を図り、多様性を受け入れる職場風土づくりを進めたい。

  • 全日本空輸(宇佐美香苗・人財戦略室人事部ダイバーシティ&インクルージョン推進室長)
    社員の多様性を最大限に活かすという方針のもと、(1)状況把握(2)理解(3)相談(4)制度利用――のステージに応じた取り組みを推進している。介護について話しやすい雰囲気づくりに向けては、経営トップの直筆による「イクボス宣言」などを通じて、社員をしっかりとサポートすることを伝えている。今後は、社内介護制度と公的介護制度の双方に精通する介護アドバイザーの養成を検討していきたい。

  • 花王(座間美都子・人財開発部門D&I推進部長)
    多様性から生まれる活力を事業発展につなげていくという考え方を基本として、介護による「時間的負担」「心理的負担」「経済的負担」の解消に取り組んでいる。具体的には、実態調査に基づいて柔軟な就業制度の導入や相談窓口の提供、共済会による経済的支援等を推進している。今後も「備えの意識」と「お互い様の意識」の醸成を進め、すべての社員が働きやすく、働きがいのある職場を実現していきたい。

【労働政策本部】

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