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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年1月24日 No.3393 メルカリから「個人データの活用促進に向けた課題」について聞く -情報通信委員会企画部会データ戦略/国際戦略ワーキング・グループ

経団連は12月27日、東京・大手町の経団連会館で情報通信委員会企画部会データ戦略ワーキング・グループ(若目田光生主査)・国際戦略ワーキング・グループ(横澤誠主査)合同会合を開催し、メルカリの望月健太社長室政策企画参事から、個人データの活用促進に向けた課題について説明を聞いた。概要は次のとおり。

■ 国内の課題

個人データの活用促進のためには、一律な規制強化ではなく、企業の自主規制を尊重したアプローチが望ましい。また、国内外の事業者間の「イコールフッティング」を図ることが重要であり、国際法を考慮したうえで、法適用・法執行の平等を確保する必要がある。
具体的には以下のような課題意識を持っている。

(1)データポータビリティー、プロファイリング規制

わが国でデータ活用を推進する観点から、GDPR(EU一般データ保護規則)で規定されるデータポータビリティー、プロファイリング規制を仮にわが国で実施する場合、法的な規制よりも、事業者の自主的な取り組みを促すことが望ましい。

(2)プラットフォームサービスに関する法制度

リソースに限りがある新興・中小企業も質の高い「反社チェック」を行えるよう、また、炎上リスクに晒されることなく不正対策のための個人データの共有を進められるような個人情報保護法上の仕組みが求められるのではないか。

(3)金融分野の個人情報保護

金融分野については、個人情報保護法上、一般企業よりも厳格なルールが適用される。個人情報の利活用を通じた利用者の利便性向上やイノベーションの促進に向け、規制を緩和する必要がある。

(4)外国の第三者への提供

事業者が外国の第三者に個人データを提供する場合、個人情報保護法上の例外に依拠し外国の第三者に体制整備を求めることは必ずしも容易ではない。GDPRなどを踏まえ、事業者が活用しやすいモデル条項による適法性の確保等について検討してほしい。

■ 国際的な課題

デジタル分野では、米国・欧州・中国が国際的なルール形成戦略を通じたグローバル市場の覇権争いを行っている状況にある。日本は、海外のルールをうのみにするのではなく、官民を挙げて、デジタル分野の国際的なルール形成に戦略的に関与することが必要である。
具体的には以下の課題意識を持っている。

(1)二重移転規制問題

GDPRでは、個人データの越境移転のみならず、越境移転先からの「再」移転も規制対象としている。そのため、EUから日本に個人データを移転し、そこから他国に再移転する場合に、GDPRとわが国の個人情報保護法の規制が二重にかかり、二重の法令遵守を行わなければならない可能性がある。個人データの越境移転規制を含む法令を制定する国が増えれば、事業者の法令遵守コストが増大する可能性がある。

(2)データローカライゼーション規制

TPPは、原則として締約国がデータローカライゼーション措置をとることを禁止している。一方で、「公共政策の正当な目的を達成するため」であれば妨げられないとしているが、この例外規定の解釈が、WTO紛争処理制度のもとで蓄積されてきた判例に従って行われるのか、そしてその解釈によっては、特定の重要データを守るために例外規定に依拠することが難しくなったり、他国のデータローカライゼーション措置を是正することが難しくなる可能性がある。

【産業技術本部】

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