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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 週刊 経団連タイムス 2019年1月31日 No.3394 中国の対外援助の現状と課題 -21世紀政策研究所 解説シリーズ/21世紀政策研究所研究委員(早稲田大学理工学術院教授) 北野尚宏

北野研究委員

中国は、対外援助を南の国が同じ南の国を支援する「南南協力」として位置づけ、経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)諸国の援助とは一線を画してきた。対外援助は、技術協力や国内研修を含む無償援助、無利子借款、中国輸出入銀行が実施する優遇借款から構成される。加えて、対外援助には含まれていないものの、優遇バイヤーズクレジットと呼ばれる、優遇借款と同等の優遇条件で供与する輸出信用をツールとして有している。多国間協力として、国際機関に対する出資や拠出を行っている。

中国の対外援助統計はOECD―DACが定めている政府開発援助(ODA)の定義とは異なっており、2014年に2回目の対外援助白書が刊行されて以降公表されていない。ODAの定義に近似させた筆者の推計によれば、借款の返済額を差し引かない総額(グロス)ベースで、対外援助額は03年の約8億ドルから16年は約66億ドルに急増している。国際比較すると米国、ドイツ、英国、日本、フランス、トルコに次いで第7位となっている。15年からはアジアインフラ投資銀行(AIIB)に対する払込資本の支払いが始まったことにより、多国間援助の比率は14年の6.2%から15年の24.6%に急増している。一方、優遇バイヤーズクレジットは16年には約93億ドルと対外援助額を凌駕していた。カンボジアなど一部の受け入れ国はこれを援助として計上していることから、対外援助額と合計すると約158億ドルとなり、日本のODA総額である約168億ドルとほぼ同水準となる。このほか、中国輸出入銀行や国家開発銀行は商業ベースでさらに大きな規模の融資を開発途上国向けに行っている。

中国は、これまで国連や、ASEAN+1や中国・アフリカ協力フォーラム(FOCAC)をはじめとする地域協力の枠組みのなかで、対外援助をはじめとする協力のパッケージを約束・実施してきた。加えて15年の「国連持続可能な開発サミット」では一連の新たな取り組みが表明された。このうち、主に国際機関向けの南南協力援助基金や国連信託基金である中国国連平和発展基金はすでに運用を開始している。北京大学には、中国の開発経験を留学生に学んでもらう南南協力・発展学院が開設された。

対外援助業務は、従来商務部の対外援助司が計画・実施を含めて所掌していたが、一部受け入れ国から商業主義的な色彩が強すぎるという批判が出ていた。18年4月に、いわば対外援助司を独立させるかたちで、対外援助政策・事業統括を担う中国初の援助機関として、国務院に直属する国家国際発展協力署(CIDCA)が誕生した。外交部からも一部の職員が移籍した。新援助機関の設立を受けて同年11月にパブリックコメントが実施された新たな「対外援助管理弁法(案)」では、対外援助の目的として、「共同で『一帯一路』建設を促進し、協力・ウィンウィンの新型国際関係および人類運命共同体の構築を推進する」ことが盛り込まれている。新援助機関には、商業目的は維持しながらも、これまで以上に外交目的に沿った対外援助が求められているといってよい。

中国にとっての当面の課題を2点挙げたい。1点目は実施体制についてである。上述のように、独立した援助機関が設立されたものの、援助実務を担う実施機関は依然として商務部が所管しており、新援助機関には移管されていない。商務部は対外投資・経済合作司に新援助機関との調整を行う課を新設した。今後どのように部門間調整がなされ、当初の設立目的に沿うかたちで効率的、効果的な対外援助業務が展開されていくか注視したい。

2点目は国際社会が懸念している受け入れ国の債務持続性についてである。近年、低所得国の債務残高のGDP比が増加しており、18年12月のG20ブエノスアイレス・サミット首脳宣言にも、低所得国の債務脆弱性への対処や債務の透明性および持続可能性の促進が盛り込まれた。IMFの分析によれば、このうち、中国に対する債務残高が13年から16年にかけて2.5%から4.2%に増加しており、アフリカの一部の国ではその比率はさらに高い。中国も、約30カ国と締結した「『一帯一路』融資原則」のなかで「資金動員と債務持続性のバランス」を盛り込むとともに、18年9月に開催されたFOCACの北京行動計画に、「アフリカ諸国の債務持続性の改善を積極的に支援する」ことを明記した。エチオピアについては、アディスアベバとジブチとをつなぐ鉄道建設資金として中国輸銀から借り入れた巨額債務の繰り延べに、中国が同意したとの報道がある。中国はG20のメンバー国であり、今年のG20大阪サミットに向けて中国がどのようにこの問題に取り組んでいくか、注目される。

【21世紀政策研究所】

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