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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年2月14日 No.3396 石兼駐カナダ大使との懇談会を開催 -カナダ委員会

説明する石兼大使

経団連のカナダ委員会(佐藤洋二委員長、植木義晴委員長)は1月30日、東京・大手町の経団連会館で石兼公博カナダ国駐箚特命全権大使との懇談会を開催し、カナダの政治経済情勢などに関する現状と見通しなどについて説明を聞くとともに意見交換を行った。概要は次のとおり。

■ カナダの現状と取り組み

トルドー政権下で、CPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)発効が実現し、米国とのUSMCA(新NAFTA、米国・メキシコ・カナダ協定)交渉も合意に至るなど、通商面で成果を上げる一方、パイプライン敷設問題や対中関係等で課題に直面しており、支持率はやや低下傾向にある。現時点では、自由党が優勢を保っているものの、小選挙区制であることもあり、今年10月の総選挙の結果を見通すことは難しい。

足もとでは、カナダ経済は好調な米国経済に牽引され、堅実に推移しているが、油価下落、ゼネラルモーターズやボンバルディアの工場閉鎖等、不安要素も影を落としている。また、法人税の低さ等の強みを活かし、海外企業の投資誘致を行ってきたカナダにとって、トランプ政権による減税や規制緩和政策により、比較優位低下が生じている。さらに、米国による通商拡大法232条に基づく鉄・アルミニウムへの追加関税等も景気の圧迫要因となっており、景気の先行き不透明感も指摘されている。

カナダは現在、米国頼みの経済体質を変えるべく、貿易投資先の多様化に取り組み、「国際貿易大臣」を「国際貿易多様化大臣」という名称に変更した。また、インフラ銀行の設立、スーパークラスターの立ち上げ、Invest in Canada(投資促進を目的とした政府機関)の創設を通じ、投資インセンティブを対外的にアピールしつつ、外国企業の誘致にも本格的に取り組み始めている。

■ 対中関係

カナダは、米国に先んじて1970年に中国と外交関係を樹立するとともに、2005年には戦略的パートナーシップを締結するなど、早い段階から中国との関係を積極的に構築してきた。カナダにとって中国は、米国に次ぐ貿易相手国であり、中国企業による研究機関への投資や、中国人留学生の受け入れ数も年々増加してきた。ファーウェイのCFOにかかる事案、5Gネットワーク(第5世代移動通信システム)でのファーウェイ機器の活用に関する安全保障の観点からの検討等があるなかで、貿易の多様化の一環として、対中関係の強化を目指してきたトルドー首相は難しい対応を迫られている。

■ 日加経済関係強化を支援

CPTPPの発効もあり、今後も日加経済関係はますます発展していくと大いに期待している。在カナダ大使館としては、日本企業の現地での展開についての支援、カナダの各種制度の日本企業への周知や、日加企業の接点強化を目指していきたい。カナダ政府の設立したインフラ銀行や、スーパークラスター、Invest in Canada等も活用しながら、日加経済関係強化に貢献していきたい。

【国際経済本部】

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