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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年2月28日 No.3398 札幌市、会津若松市のスマートシティ事業について聞く -都市・住宅政策委員会企画部会・PPP推進部会

経団連は2月7日、都内で都市・住宅政策委員会企画部会(安達博治部会長)・PPP推進部会(竹内俊一部会長)合同部会を開催。日本電信電話の松本浩地方創生担当課長から「ICTを活用したまちづくり」について、アクセンチュアの中村彰二朗福島イノベーションセンター長から「デジタルシフトによる地方創生」について説明を聞くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 日本電信電話「自治体を中心とした新たなデータ利活用モデル」

わが国では、各自治体・企業が正確で良質なデータを保有するものの、それらは断片的でバラバラに保存されており、十分に活用されていない。そうしたなか、自治体が主体となり、社会課題解決を目標にリアルデータを収集・利活用するモデル事業を札幌市で当社が黒子となって行っている。

2015年、当社は札幌市とさっぽろまちづくりパートナー協定を締結。以来、市長、地元IT企業、大学等の参画のもと、ICT活用プラットフォームの体制構築を行ってきた。具体的には、「スポーツ・観光」「交通・雪対策」「健康・子育て」の各分野の課題解決に向け、市や当社が持つ人流データ(携帯基地局、GPS等)と、商業施設の購買データ(免税システム、POS等)を収集。これらを掛け合わせることで一層精緻な分析を実施している。これにより、従来見逃していた市場の発掘や、新たな観光PRと販売戦略の推進などが可能になり、観光客の満足度の向上と消費拡大を実現した。そのほか、人流データや宿泊データを基に観光地や宿泊ホテルを乗降場所として選定し、それらをつなぐデマンド交通サービスや、スマートフォンなどを活用した除雪事業者の業務支援など、札幌市特有の課題解決にも取り組んでいる。

■ アクセンチュア「スマートシティ会津Society 5.0プロジェクト」

当社は7年前から会津若松市でスマートシティ事業を行っており、今春、社員50名から250名体制に強化する。会津大学と連携してIT専門人材を育成するとともに、高付加価値産業の地方移転を促すなど産業基盤を強化している。また、地元企業への就職や多様なパートナーの集積により、地方創生に寄与していく。

当社は、データに基づく政策決定と地域住民の参加率向上を重視している。行政がデータをオープンにし、市民も自らデータを提供することで、市民の行動変容を促す。また、各種のデータを産業界で再利用できればそれぞれがメリットを享受できる。例えば、市民が予防医療を実践して自治体の医療費を削減したり、省エネシフトによりエネルギー問題を解決したりできる。また、観光、農業等の生産性向上も可能になる。

今後は、地域密着型のデータ取得が重要である。市政と市民のコミュニケーション率を改善するため、現在市民とのデジタルコミュニケーションプラットフォーム「会津若松プラス」の構築に取り組んでいる。同プラットフォーム上のポータルサイトを通じて、個人の属性や嗜好にあわせて行政・地域情報の発信やエネルギーの見える化、市民の健康増進に寄与するICTサービス基盤の充実などを推進している。

こうした取り組みを他の都市にも展開しながら、地域中心の日本型スマートシティの実現を目指していきたい。

【産業政策本部】

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