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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 週刊 経団連タイムス 2019年7月18日 No.3416 21世紀政策研究所がシンポジウム「現代中国理解の要所―今とこれからのために」を開催

21世紀政策研究所(飯島彰己所長)は7月3日、中国に関する研究プロジェクト(研究主幹=川島真東京大学教授)の成果を基にシンポジウム「現代中国理解の要所―今とこれからのために」を開催した。同プロジェクトは、昨年7月から、外交、経済・社会、産業競争力・Technologyの3つの研究チームに分かれて中国を多面的に研究しているもので、近々、報告書を取りまとめる予定である。シンポジウムの概要は以下のとおり。

■ 中国経済の動向と課題(内藤二郎大東文化大学経済学部教授)

中国の経済成長率は6%台を維持しているものの、厳しい状況が続いている。財政面では、旧来型景気対策(インフラ投資、企業減税など)の拡大、少子高齢化に伴う社会保障関係費の増加、地方財政の悪化、農民工格差問題などによって財政収支は徐々に悪化している。対外面では、「一帯一路」構想の停滞・摩擦の激化、米中摩擦の激化・長期化が懸念される。こうしたなかで、国内の構造問題が先送りされていることが非常に心配である。

■ 第四次産業革命と社会統治(金野純学習院女子大学国際文化交流学部准教授)

習近平政権下では、党の指導領域が大幅に拡大している。また、「デジタル・レーニン主義」といわれ、情報技術の政治的利用が注目されているが、この中国型コントロール・モデルを機能させているのは「法」であり、法を利用した支配こそが重要である。中国は、「世界の国家に全く新しい選択肢を提供した」として、中国の法的影響力を海外にも拡大しつつある。

■ 中国の対外援助の現状と課題(北野尚宏早稲田大学理工学術院教授)

中国の対外援助推計額は2016年で66憶ドルと世界7位であるが、実質的な援助である優遇バイヤーズクレジットを加えると日本並みの規模になる。ただ、最近は、国内の金融引き締めや借入国側の返済が滞ることなどからかなり抑制的になっている。また、中国の対外援助は、ハード面だけでなく、中国の技術標準の導入や運営業務の受託などソフト面との組み合わせで行っており、日本企業がアフリカ等へ進出する際の参考になる。

■ 安全保障面から見た中国外交の基軸(香田洋二元海上自衛隊自衛艦隊司令官)

米国の伝統的な対中観は、中国は良い国でいずれ民主主義を理解して世界秩序に順応するというものであったが、オバマ政権最後の2年間でその見方が中国異質論に大きく転換し、米中貿易摩擦、昨年10月のペンス演説に至っている。米中貿易摩擦は、計算し尽くした米国の貿易戦争である。日本としては、速やかに中国を国際秩序に引き戻すことを最優先に取り組むべきである。

■ 中国の現在と今後を考える三要素―経済・技術・国際関係(川島真東京大学大学院総合文化研究科教授)

まず中国を理解したうえで、中国への対応を考えるべきである。習近平政権は、経済発展によって共産党一党独裁を強化してきた。胡錦濤国家主席まではしなやかな対応をしてきたが、いろいろ問題が出てきて、習近平国家主席は、固い国内統治、固い対外政策(米国主導の体制には従わない)に転換した。この中国をめぐる情勢は、本プロジェクトの報告書を取りまとめている間にも大きく変わってきている。

<パネルディスカッション>

川島研究主幹をモデレーターとして、中国の法・制度、米中貿易摩擦における日本や日本企業の立ち位置、AIIB(アジアインフラ投資銀行)とADB(アジア開発銀行)、安全保障面と経済面の関わりなどをめぐり、議論した。

【21世紀政策研究所】

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