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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年7月25日 No.3417 環境省の鎌形官房長(当時)からG20の結果概要と今後の環境政策について聞く -環境安全委員会

経団連は7月4日、都内で環境安全委員会(杉森務委員長、小堀秀毅委員長)を開催し、環境省の鎌形浩史大臣官房長(当時、現事務次官)から、6月に行われたG20会合の結果概要と今後の環境政策について説明を聞いた。概要は次のとおり。

■ G20エネルギー・環境大臣会合(6月15~16日、長野県軽井沢町)

気候変動や海洋プラスチックごみ問題といった地球規模の課題の解決には、途上国・新興国も含めた対応が重要であり、20カ国が一致したメッセージを発出できたことは大きな成果である。 気候変動問題は、パリ協定をめぐって調整が難航したが、結果的に、米国を孤立させることなく「環境と成長の好循環」というコンセプトに合意できた。海洋プラスチックごみ問題は、「海洋プラスチックごみ対策実施枠組み」に合意し、各国が自主的な取り組みを行い、それを報告し合うことで、実効性を高めていくことになった。

■ G20サミット(6月28~29日、大阪市)

サミットでも、気候変動問題は調整が難航した。パリ協定については完全に一致したメッセージとならなかったが、「環境と成長の好循環」の加速のため、資金動員やビジネス環境の改善が重要である点で合意できた。 海洋プラスチックごみ問題では、2050年までに追加的な汚染をゼロにするという「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を、G20共通のビジョンとして共有した。 わが国は、国内対策はもとより途上国におけるキャパシティー・ビルディングなど、さまざまな国際貢献を行っていく。

■ 気候変動をめぐる国内の対応

気候変動問題へのわが国の基本スタンスは、(1)世界規模で「環境と成長の好循環」を実現し、(2)気候変動対策をコストではなく競争力の源泉と位置づける――ことである。

こうしたスタンスのもと、6月に閣議決定した「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」では、将来のあるべき姿・ビジョンとして、「脱炭素社会」を掲げた。ビジネス主導の非連続なイノベーションによる「環境と成長の好循環」を軸に、今後、各分野で具体的な対応を行っていく。

また、ESG投資(環境・社会・ガバナンス対応を踏まえた投資)をはじめとするグリーンファイナンスの動きも注目されており、環境省としてESG金融の推進に取り組んでいく。

■ 資源循環をめぐる国内の対応

17年末の中国の廃プラスチック輸入規制により、国内で廃プラスチック処理が逼迫している。短期的には、広域処理に向けた手続きの合理化や、既存設備のフル活用、中長期的には、リサイクル設備新設の補助事業などを通じて、処理能力の積み増しを図っていく。

海洋プラスチックごみ対策については、「プラスチック資源循環戦略」の策定など、さまざまな対策を打ち出している。同戦略では、30年までにワンウエープラスチックを累積25%排出抑制する等のマイルストーンを掲げており、昨年、カナダで開催のG7サミットで提案された「海洋プラスチック憲章」(米国・日本は不参加)を超えるものとなっている。こうしたマイルストーンの達成を目指すことを通じて、世界全体の資源・環境問題の解決に貢献していく。

【環境エネルギー本部】

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