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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 週刊 経団連タイムス 2019年8月8日 No.3419 競争法に関するセミナーを開催 -日本における確約手続の概要や秘匿特権制度導入の見通しなど

阿江氏

トドロフ氏

7月8日、東京・大手町の経団連会館で、経団連の後援によりベーカー&マッケンジー法律事務所主催の競争法セミナーが開催された。会員を中心に約200名が参加し、阿江順也氏、フランシスコ・トドロフ氏、カート・ヘーゲマン氏をはじめとする同法律事務所の弁護士などから、国内外の競争法違反調査の動向、欧米におけるクラスアクションの動向、日本における確約手続の概要や秘匿特権制度導入の見通しなどについて説明を聞いた。確約手続および秘匿特権に関する説明は次のとおり。

■ 確約手続

競争法違反の疑いを競争当局と事業者間の合意により解決する確約手続は、欧米では従来から導入されていたところ、日本においても、TPP11(包括的及び先進的な環太平洋パートナーシップ)協定の締結に伴い、同協定の発効日である2018年12月30日から施行された。

独占禁止法上の「私的独占」「不当な取引制限」「不公正な取引方法」が対象であるが、ハードコア・カルテルにあたる場合などは除かれる。

手続きとしては、事業者と公正取引委員会が制度の利用について相談のうえ、同委員会が事業者に対して確約手続通知をすれば、事業者が確約計画(典型的な内容としては、違反行為のとりやめの確認・周知、取引条件の変更・被害回復、コンプライアンス体制の整備・履行状況の報告等)を作成のうえ、その認定申請を行えるというもの。同委員会が事業者の措置内容の十分性・措置実施の確実性を検討し、確約認定が行われれば、排除措置命令や課徴金納付命令はなされず、違反の認定もされない。

なお、事業者が確約に違反した場合、そのこと自体に対しては罰金等の制裁が科されないという点で、欧米の確約手続とは大きな違いがある。

■ 秘匿特権

弁護士による事業者への法的助言の内容を当局に秘匿できる弁護士・依頼者間秘匿特権は、事業者による当局の調査への協力において必要不可欠なツールである。秘匿特権があるからこそ、依頼者は正直に弁護士に事実を打ち明けることができ、それによって弁護士も適切な助言を行い得る。

欧米では、従前から制度が確立されているが、日本においても、今後、規則や指針によって整備が行われる予定である。

日本における導入案では、対象がカルテル等の「不当な取引制限」に限定されているものの、秘匿特権を正面から認めたことには大きな意義があり、事業者による調査実施プロセスが促進される可能性がある。また、外国弁護士が日本企業の外国子会社に法的助言を行った際、親会社である日本企業に対する公正取引委員会の調査により助言内容の秘匿性が失われるといった事態も避けることができる。全体的には、調査開始後の物件に対象が限定されていない点、制限はあるものの社内弁護士による助言も保護され得る点等から、米国の制度に似ているといえる。

今後は、電子メールがどのように押収され、どのように保護されるのか、事業者によるインタビュー計画・インタビュー記録等が保護されるのかといったことに注目したい。

【経済基盤本部】

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