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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年11月21日 No.3432 OECD、BIACと国際課税に関する会議開催 -経済のデジタル化と課税などについて意見交換

サンタマンOECD租税政策
・税務行政センター局長

モリスBIAC税制
・財政委員会委員長

経団連の税制委員会(宮永俊一委員長、柿木厚司委員長)と21世紀政策研究所(飯島彰己所長)は10月31日、東京・大手町の経団連会館で、OECDおよびOECDに対する民間経済界の諮問機関であるBusiness at OECD(BIAC)と国際課税に関する会議を開催した。同会議は、OECD・G20によるBEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクトを契機として2015年に始まったものであり、今回で第5回となる。

会議には、青山慶二21世紀政策研究所研究主幹、パスカル・サンタマンOECD租税政策・税務行政センター局長、安居孝啓財務省主税局国際租税総括官、ウィリアム・モリスBIAC税制・財政委員会委員長、ドーリーン・タン・シンガポール財務省チーフタックスポリシーオフィサーをはじめ、会員企業から200名超が参加し、「経済のデジタル化と課税」のテーマを中心にパネルディスカッションが行われた。

現在、OECD・G20では100年に一度の改革ともいわれる「経済のデジタル化に伴う課税上の課題」に関する長期的解決に向けた検討が進んでおり、2020年1月までに解決策の大枠について合意したうえで、20年末までに最終報告書を取りまとめることを目指している。新たなルールは、市場国に利益を配分する第1の柱と、国際的に統一の最低税率の設定を目指す第2の柱に大別される。

◇◇◇

第1の柱に関するパネルディスカッションでは、OECDから、市場国に利益を配分する対象となる企業を高度にデジタル化された企業に限定せず、「消費者向けビジネス(BtoC企業および消費者向けの製品・サービスを手がける一定のBtoB企業)」とすることを検討しているとの説明があった。第2の柱に関するパネルディスカッションでは、国家間の税率引き下げ競争に歯止めをかけるため、多国籍企業を対象に、親会社の所在国で国際的に定めた最低税率まで課税する制度とすることを検討しているとの説明があった。

これらに対し日本企業からは、OECDが国際的な統一ルールの導入に向けた検討を進めていることを評価するとしつつも、新たなルールの導入に伴う事務負担の増加等に懸念を示し、新たなルールは適切に対象を絞り込み、簡素で公平な制度とすべきだとする声が上がった。また、新たなルールに伴う税務当局間の税務上の紛争や二重課税の発生により企業の経済活動に不利益が生じないよう、強力な紛争の予防・解決手段が用意されるべきだという意見も聞かれた。

こうした日本企業の声を受けてOECDは、執行の困難さや紛争の増加に対する日本企業の懸念に対して一定の同意をするとともに、新たなルールを導入しなければ、各国が一国主義的な課税を行うことで紛争や二重課税が増える結果となると説明し、新たなルールを導入する重要性について理解を求めた。

会議ではこのほか、税の安定性やBEPS対応措置の実施、税の透明性といった幅広いテーマについてディスカッションを行った。これらのセッションにおいて日本企業は、紛争解決制度が有効に機能することや、国際協調のもと各国で一貫性のある税務上の措置が取られることの重要性をOECDや日本政府に伝えた。

【経済基盤本部】

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