Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年11月21日 No.3432  障害者差別解消法の施行状況に関する説明会を開催

内閣府の障害者政策委員会において、現在、障害者差別解消法の見直しの検討が行われている。そこで経団連は11月5日、東京・大手町の経団連会館で、内閣府の福田正信大臣官房審議官(共生社会政策担当)から、障害者差別解消法の施行状況や見直しの論点について説明を聞いた。概要は次のとおり。

■ 障害者差別解消法の概要

障害者差別解消法は、国連の障害者権利条約をわが国が批准するにあたって制定された法律であり、2013年6月に成立、16年4月に施行されている。同法の趣旨は、障害者の社会参加を制約する社会的障壁を解消する具体的な取り組みを定め、国民一人ひとりに自発的な取り組みを促すことにある。

同法では、差別を解消するための措置として、(1)障害者に対する障害を理由とした不当な差別的取り扱いの禁止(2)障害者から配慮を求められた場合の、社会的障壁を取り除くために必要な合理的配慮の提供――が規定されている。

不当な差別的取り扱いの禁止については、行政機関等、事業者ともに法的義務を課しているが、正当な理由がある場合は不当な差別的取り扱いにあたらないとされる。正当な理由の判断は、個別の事案ごとに障害者、事業者、第三者の権利利益等の観点から、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断される。

合理的配慮の提供については、行政機関等に法的義務を課す一方で、事業者は努力義務としているが、東京都など一部自治体では、条例により事業者にも法的義務を課している。合理的配慮は、必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られ、障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであり、事務・事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないものであることに留意する必要がある。また、その実施に伴う負担が過重でないものとしているが、過重な負担の判断は、事務・事業への影響の程度(事業の目的・内容・機能を損なうか否か)、実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約)、費用・負担の程度、事務・事業規模、財政・財務状況等の要素を考慮し、個々の場面や状況に応じて総合的・客観的に判断される。合理的配慮の内容は、技術の進展、社会情勢の変化等に応じて変わり得るものである。

加えて、同法では、合理的配慮を的確に行えるようにするため、不特定多数の障害者を主な対象とした事前改善措置である「環境の整備」について、行政機関等、事業者ともに努力義務としている。

このほか、関係機関が地域の実情に応じた差別解消の取り組みを主体的に行うため、地域協議会を設置できる規定も設けられている。

■ 障害者差別解消法の見直しの検討

障害者差別解消法附則の規定を踏まえ、今年2月から見直しの検討が始まっている。主な見直しの論点には、差別の定義・概念の明確化や、現行では努力義務とされている事業者による合理的配慮の提供の義務化も含めたあり方、相談・紛争解決体制のあり方、地域協議会の設置促進・活性化等が盛り込まれている。合理的配慮の提供は事業者も当事者であるため、経済界の意見を障害者政策委員会の議論に反映させたい。

【SDGs本部】