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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年1月23日 No.3439 国土強靱化の取り組みと企業の防災減災対策を聞く -社会基盤強化委員会

経団連は12月24日、東京・大手町の経団連会館で社会基盤強化委員会(山内隆司委員長、渡邉健二委員長)を開催した。宮崎祥一内閣官房国土強靱化推進室審議官から「国土強靱化に関する最近の取組」、府川均MS&ADインターリスク総研リスクマネジメント第四部長から「過去の災害に学ぶ企業の防災減災対策」について聞いた。概要は次のとおり。

■ 「国土強靱化に関する最近の取組」宮崎氏

2011年の東日本大震災では、従来の防災インフラをはじめとするハードを中心とした対策の限界、被災時の避難対応や住民への防災教育などの重要性が広く認識され、これが国土強靱化に取り組む契機となった。

国土強靱化が目標とするのは、災害発生時における国民生命の保護や被害の最小化に加え、国・社会の重要機能が致命的な障害を受けずに維持されること、被害からの迅速な復旧と復興である。

政府では18年に改訂された国土強靱化基本計画に基づき、さまざまな取り組みを進めている。また、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」として、河川堤防の強化や交通、医療、ライフラインなどの分野で緊急に実施すべきハード・ソフト対策として160項目を挙げ、2020年度までの達成を目指している。2年目となる19年度までで、概ね7兆円程度の事業規模のうち約7割、項目にして35項目を達成予定である。また、地方自治体や民間企業による国土強靱化の取り組みも進んでいる。

12月13日に閣議決定された令和元年度補正予算案では、国土強靱化関係として約1.2兆円、同月20日に閣議決定された令和2年度予算案では対前年度増となる4.1兆円および3か年緊急対策分1.1兆円を計上し、防災・減災、国土強靱化をさらに進めていく。

◇◇◇

説明後の意見交換では、水害対策や災害時の東京一極集中によるリスクに対する施策などについて議論がなされた。

■ 「過去の災害に学ぶ企業の防災減災対策」府川氏

データからみても風水災は近年激甚化している。これまで企業のBCP(事業継続計画)は主に地震による影響を想定していたが、今後は風水災も視野に入れて検討する必要がある。

企業がBCPを検討するにあたり、昨今の風水災から4つの教訓が挙げられる。1つ目はハザードマップの重要性である。風水災においてもハザードマップの有用性が確認されており、自拠点のみならずサプライヤー拠点の被害リスクをあらかじめ把握しておくことが必要となる。2つ目は、事業の継続を阻むさまざまな要因を把握しておくことである。特に最近では鉄道の計画運休もあり、従業員の参集障害も課題となっている。3つ目は、自社のうち被災しなかった拠点によるサポートを事業活動に活かすということである。物資送付や人員によるサポートは比較的行いやすいが、被災拠点で行われていた作業を被災していない本社などで代行する場合、平時からそのプロセスを検討しておかないと円滑に行えないことが多い。4つ目は、代替生産やアウトソースなど、被災拠点の復旧を前提としない事業継続方針の検討である。

地震と異なり、風水災は発生を予見することが可能なため、平時における対応計画(緊急時を想定した事前対応計画)の策定や準備が重要である。

【ソーシャル・コミュニケーション本部】

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