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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年1月23日 No.3439 日本版SBIR制度の見直しの方向など聞く -スタートアップ政策タスクフォース

経団連は12月18日、東京・大手町の経団連会館でスタートアップ委員会スタートアップ政策タスクフォース(出雲充座長)の第5回会合を開催し、内閣府の石井芳明企画官、経済産業省の今里和之産業技術環境局技術振興・大学連携推進課長、古谷元経済産業政策局新規事業創造推進室長から日本版SBIR制度の見直しなどについて説明を聞き意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 日本版SBIR制度の見直しについて(内閣府・石井企画官)

中小企業等経営強化法を根拠法とする中小企業技術革新制度、いわゆる日本版SBIR制度については、中小企業庁と内閣府による見直し案を11月に公表。現在は法改正に向けた準備を進めている。

同制度は、米国が1980年代に開始したSBIR(Small Business Innovation Research)を参考に1999年に立ち上げたものである。

米国の制度は、「11省庁が参加」「研究開発予算の一定割合の拠出を義務づけ(年間総額約2千億円)」「課題提示・ステージゲート制の採用」「政府調達などの出口戦略」といった特徴を有し、バイオ医薬世界第2位のGilead、半導体のクアルコムなど多数の革新的な企業を生み出している。

わが国の制度でも7省が参加し補助金の総額は約460億円に上るが、米国ほどの成果は得られていない。そこで、調査委員会を設置してその要因等を検討。現行制度の課題として、(1)対象分野が偏っており戦略性が欠如(2)POC(Proof of concept、概念実証)等を行う初期フェーズに資金が行き渡っていない(3)課題提示・ステージゲート制、プログラムを統括するプログラムマネージャー、出口戦略等の運用ルールが十分に実行されていない――などが浮かび上がってきた。

新たなSBIR制度では、制度趣旨を中小企業の経営力強化からイノベーション創出へと変えるべく、根拠法を科学技術・イノベーション活性化法に移す。そのうえで、内閣府と中小企業庁を中心に各省が連携し、支出目標の考え方、運用ルールの統一化などについて具体的な見直しを図っていく。

■ スタートアップ支援事業の予算概況(経産省・今里課長)

スタートアップ関係の予算は、自民党スタートアップ推進議連(平井卓也会長)らの後押しもあって昨年度比で大幅に増額した。支援1件当たりの金額を上げるなどして手厚くサポートしていきたい。申請手続きの合理化にも取り組んでいく。

■ オープンイノベーション促進税制(経産省・古谷室長)

オープンイノベーション促進税制については、先日取りまとめられた令和2年度税制改正大綱の最初のページで取り上げられた。経団連をはじめ企業の皆さまの多大な協力に感謝申しあげる。

制度の中身は財務省と折衝中だが、同税制では、事業会社やCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)によるスタートアップへの増資(成長資金の提供)に対して25%の所得控除を認める。成立した暁には積極的な活用をお願いしたい。

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説明を受けてタスクフォース委員らからは、「ディープテック系だけでなくIT系に対する支援も充実させてほしい」「実績ありきではない方向に公共調達の指針を変えてほしい」などの意見が出された。

【産業技術本部】

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