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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年2月6日 No.3441 コーポレート・ガバナンスの深化に向けシンポジウムを開催 -「イノベーションを生み出すガバナンス」

経団連ではわが国企業のコーポレート・ガバナンス改革を一層加速すべく、先進企業のトップを招き、各社の事例を共有するシンポジウムを継続的に開催している。その一環として1月17日、東京・大手町の経団連会館で「イノベーションを生み出すガバナンス~Society 5.0の実現に向けて」をテーマに第3回シンポジウム「実効あるコーポレート・ガバナンスの実現に向けて」を開催し、企業の経営者やIR、法務担当者など200名以上が参加した。

パネリストとして、アステラス製薬の畑中好彦会長(経団連審議員会副議長・イノベーション委員長)、ユーグレナの出雲充社長(経団連スタートアップ委員会スタートアップ政策タスクフォース座長)、早稲田大学大学院経営管理研究科の川本裕子教授を迎え、経団連の井上隆常務理事の進行のもと、Society 5.0実現のカギとなるイノベーションの創出においてコーポレート・ガバナンスが果たす役割に着目して議論を行った。概要は次のとおり。

■ 畑中アステラス製薬会長

アステラス製薬では「変化する医療の最先端に立ち、科学の進歩を患者さんの価値に変える」をビジョンに掲げ、継続的なイノベーション創出による革新的な医療ソリューションの提供を目指している。イノベーションの創出には、新しいことに挑戦し続けることが不可欠であるため、挑戦と失敗の許容や健全なリスクテークの環境整備が重要であり、この点がガバナンスの一つの大きな視点になる。

また、事業環境の複雑化、高度化、変化の加速化が進むなか、企業においては、迅速で適切な意思決定と着実な執行、有効なモニタリング体制がますます重要となってくる。当社では監査等委員会設置会社として、取締役会は経営の基本方針を決定し、業務執行の大部分を執行機関に委任することで、意思決定の速さと巧みさを実現している。

■ 出雲ユーグレナ社長

スタートアップ企業は攻めの経営に偏りがちであるが、ESG(環境・社会・ガバナンス)を中心とした情報開示や投資家との対話を通じて守りのガバナンスを固め、社会からビジネスに対する理解を得ることで、研究・開発などに一層注力することができる。

一方、大企業では、攻めのガバナンスへの取り組みが求められている。例えば当社では、Chief Future Officerとして17歳の高校生を登用するなどして、社会課題への意識が高いミレニアル世代の声を積極的に経営に活かす取り組みを進めている。大企業においても、まずは小規模でも社内で新しい発想に取り組む場を設け、それをトップが意識的に広げていくことが一つのソリューションになるのではないか。

■ 川本早稲田大学大学院教授

社内の創造意欲を持った人材を活かすために、権限移譲や失敗しても再挑戦できる不確実性に耐えられる組織をつくることが大事である。

強固なガバナンス体制がイノベーションを阻害するとは思わない。イノベーションへの投資は不確実性が高いものだが、経営者が普段から自身の姿勢、会社の存在意義、どのように企業価値を高めるのかということをオープンに語り、投資について合理性ある説明がなされれば、取締役会での議論も時間を要すると感じられることなく、納得感があるものになるのではないか。社外取締役が経営陣のリスクテークの合理性を十分確認することで、守りのガバナンスが攻めのガバナンスを支えることになる。

また、イノベーション創出のためには、CEOの選び方が最も重要であり、かつ難しい。従来のような年次や中期経営計画を中心とした定期人事異動によるものではなく、社外取締役も含めた透明性あるプロセスでどのような人材を選び、取締役会がその人材をどのようにサポートするかということも考えなければならない。

【ソーシャル・コミュニケーション本部】

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