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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年7月30日 No.3463 コロナ危機を踏まえた今後の対外経済政策について懇談 -外交委員会

経団連は7月3日、東京・大手町の経団連会館で外交委員会(片野坂真哉委員長、大林剛郎委員長)を開催し、経済産業省の広瀬直通商政策局長から、コロナ危機を踏まえた今後の対外経済政策のあり方について説明を聴くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ コロナ危機から何を読み取るか

今回のコロナ危機は、需要の蒸発と、世界中に張り巡らされたサプライチェーンの寸断による供給面のショックが併発し、過去の経済危機と性格が異なる異次元の経済危機に発展した。途上国も含め世界全体での感染者数はさらに増加することが見込まれるなか、各国はマスクや防護服等の輸出を制限している。

■ コロナ危機を契機とした世界の行方

中国が医療物資等の提供を通じた積極的な支援外交を展開しているのに対し、対中警戒感を強める米国は、WHOへの資金拠出停止を表明し、多国間枠組みに背を向けている。こうしたなか、デジタル技術の活用が進展し、デジタル化に関する国際的なルール整備や標準づくりが一層重要になっている。

■ 日本のとるべき進路

コロナ危機を踏まえ、日本は、(1)国際協調による危機管理体制の構築(2)有志国連携の強化による経済安全保障の推進――を両輪とし、今後の国際秩序形成を主導していくべきである。

(1)の国際協調の推進に関しては、危機後の新たなルールベースの国際経済秩序を担うべく、WTOの改革が急務である。今回の危機でみられた医療用品等の輸出規制措置を時限的なものとすべく、規律の明確化が必要である。また、加速するデジタル分野のルール策定に向け、日本が発信したDFFT(Data Free Flow with Trust)の具体化を目指す。

経済連携協定では、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)の年内署名や日英EPAの速やかな締結に取り組み、自由貿易圏のさらなる拡大を目指す。加えて、経済活動の再開には人の移動が重要だ。一般の国際的な往来とは別に、ビジネス上必要な人材等の出入国について例外的な枠を設置し、現行の水際措置を維持したうえで、追加的な防疫措置を条件とする枠組みを試行中である。

(2)の有志国連携の強化に関しては、米国が有志国と取り組むFOIP(自由で開かれたインド太平洋)の推進が重要である。具体的なプロジェクトの組成を官民連携で推進していきたい。

【国際経済本部】

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