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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年9月17日 No.3468 経済安全保障をめぐる動向とわが国の対応策を議論 -外交委員会企画部会

経団連は8月28日、東京・大手町の経団連会館で外交委員会企画部会(小久保憲一部会長)を開催し、経済産業省の香山弘文大臣官房経済安全保障室長兼安全保障貿易管理政策課長から、経済安全保障をめぐる動向について説明を聴くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ わが国をめぐる環境変化と政策の方向性

米中対立の先鋭化に加え、新型コロナウイルスにより顕在化したリスクに対応するため、レジリエンスと新たな国際秩序の形成をキーワードに、政策を見直す必要がある。

■ 米国の対中政策

現在の米国の強硬な対中政策は、トランプ大統領の個人的な意思に基づくものではなく、オバマ政権末期から、共和・民主両党のコンセンサスとなっている。米国の国防予算の大枠を決めるために議会が毎年通さなければならない昨年の国防授権法に経済安全保障の内容が盛り込まれたことは象徴的である。11月の大統領選挙で、仮にバイデン政権が誕生しても、米国の対中政策は大きく変わらないだろう。

米国は、中国が民生技術を効率的に軍事利用することで、米国の軍事的優位性が揺らいでいることを懸念している。また、中国が軍民融合政策を進めることで最終需要者・用途が軍事か否かの判断が困難となったため、輸出管理を強化している。特に、開発の初期段階であっても将来の軍事技術体系を変える可能性のある新興技術(AI・量子等)や防衛産業を含む広範な産業基盤を構成する基盤技術(半導体等)については、国際レジームとは別に、ユニラテラルに管理を強化する動きがある。

■ わが国の経済安全保障政策

昨年6月、経産省内の経済安全保障政策に一貫性を持たせるため、大臣官房に経済安全保障室が設置された。国の構えを定めるべく、経済安全保障について検討を進めていく。

米中の覇権争いが激化するなか、今年7月に閣議決定された「統合イノベーション戦略2020」では、「安全・安心」にかかわる取り組みが掲示されている。新興技術や基盤技術における先端的な国際共同研究は日本全体の技術力の強化に資するものであり、その前提として共同研究の相手国にも認められる情報保全体制の整備が必要となる。公開を原則とする特許制度について、機微技術情報流出防止の観点との両立が図られるよう検討を推進することや、重要技術情報の情報漏洩等の対策を適切に行うことが必要である。

【国際経済本部】

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