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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年2月4日 No.3486 経団連の重要政策について最新動向等を報告 -関西新春活動報告オンラインセミナーを開催

古賀審議員会議長

経団連は1月20日、新型コロナウイルスをめぐる状況を踏まえて中止とした大阪市で開催予定であった関西会員懇談会に代わり、「関西新春活動報告セミナー」をオンラインで開催した。古賀信行審議員会議長の開会あいさつの後、重要政策の最新動向等について担当の副会長が報告し、関西地区の会員を中心に全国の会員約300名が視聴した。概要は次のとおり。

■ 開会あいさつ(古賀審議員会議長)

国内外で感染の再拡大が続くなか、感染防止対策を徹底しつつ、経済への影響を最小限に抑えることが最優先課題であり、経済界はじめ関係者が一丸となって対応することが求められる。

経団連では、昨年、ウィズ・ポストコロナを見据え、「デジタル化の遅れ」などの課題に真正面から向き合い、精力的に政策提言を重ねた。今年は、昨年11月に公表した「。新成長戦略」を新たな行動指針とし、可能なアクションから果敢に実行に移していく。

同時に、今年の東京オリンピック・パラリンピックが盛況に開催されることを切に願うとともに、2025年大阪関西万博の成功に向けた全国的な機運醸成と開催準備に全力を尽くしていきたい。

■ 2021年版経労委報告(大橋徹二副会長)

「2021年版経営労働政策特別委員会報告」1月21日号既報)の副題は、昨年版に引き続き、働き手のエンゲージメント向上の重要性を強調したうえで、それが現下のコロナ禍を乗り越えるためのカギとなり、Society 5.0の実現にもつながっていくことを表現している。飛躍的な生産性の向上を目指し、エンゲージメントの向上と価値協創型DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を図り、増大した付加価値については社員に適切に還元を図ることで、社内の好循環を実現するとともに、これらの取り組みが社会課題の解決や価値創造にも寄与し、「Society 5.0 for SDGs」の実現につながっていく。各社において、今年の春季労使交渉・協議に臨む際の参考として広く活用いただければ幸いである。

■ 重要政策の最新動向

(1)全世代型社会保障制度改革(隅修三副会長)

高齢者に偏りがちな社会保障給付を見直し、現役世代の負担増加の抑制や、子ども・子育て分野の充実を図るよう、政府・与党に働きかけてきたところ、昨年12月の政府の「全世代型社会保障改革の方針」では、後期高齢者の窓口負担の2割への引き上げの対象者を年収200万円以上とするとともに、待機児童の解消に向け、今後4年間で約14万人分の保育の受け皿を新たに整備することとされた。これを踏まえ、経済界は政府からの事業主拠出金負担の増額要請を受け入れることとした。経済界負担により運営される事業であるため、子どもたちの健やかな育成に適切に活用されるよう、事業の運営規律の徹底を引き続き求めていく。

(2)税制改正(越智仁副会長)

令和3年度税制改正大綱は、総じて、新型コロナによる経済への下押し圧力のもとでも、企業の将来に向けた投資を後押しし、ウィズ・ポストコロナ時代に対応した事業改革の達成に寄与するものと評価している。経団連が主要要望としていた研究開発税制の拡充・改組については、売り上げの減少にもかかわらず、積極的な研究開発投資を行う企業を対象に、法人税額の控除上限を時限的に25%から30%へと引き上げる。また、税務手続きのデジタル化・簡素化を強く求めた結果、国税・地方税とも押印規定の原則廃止など、経済界のニーズを最大限反映するかたちでの見直しが講じられる。

(3)規制改革(佐藤康博副会長)

経団連は、Society 5.0を見据えた規制・制度改革について議論するとともに会員企業から寄せられた意見を規制改革要望として取りまとめ、昨年10月に政府に提出した。さらに、政府の規制改革推進会議や自民党の行政改革推進本部などで説明し、実現を働きかけてきた。その結果、政府、与党内で前向きな検討が行われ、あらゆる行政手続きや民間の手続きにおける押印・書面・対面の見直し、専属産業医の常駐・兼務要件の緩和、テレワークガイドラインの見直しが政府の施策に盛り込まれるなど、提言を公表した後、約2カ月で約3割の要望について具体的な対応策が示されている。

(4)環境エネルギー政策(杉森務副会長)

昨年10月に菅義偉首相が「2050年カーボンニュートラル」を目指すことを宣言し、政府では、エネルギー分野での対応、革新的技術の早期確立や社会実装の促進に関する検討が急ピッチで進められた。経団連は、こうした政府の動きに先駆け、昨年6月から脱炭素社会の早期実現に向けたイニシアティブ「チャレンジ・ゼロ」を強力に推進するとともに、11月に「グリーン成長」を柱の1つとする「。新成長戦略」、12月に「2050年カーボンニュートラル実現に向けた提言」を相次いで公表し、政府に働きかけてきた。これらを受け、12月に取りまとめられた「グリーン成長戦略」は、企業のイノベーション促進を基本コンセプトとするなど、全体として経済界意見が多く反映されている。

◇◇◇

最後に古賀議長は、「今年の夏には大阪で関西会員懇談会を開催し、皆さまに直接お目にかかりたい」と述べた。

【総務本部・関西事務所】

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