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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年2月10日 No.3532 経団連・清華大学共同ウェビナーを開催 -今後5年の米中関係

閻氏

経団連の中国委員会(佐藤康博委員長、橋本英二委員長)は1月12日、中国清華大学と共同でウェビナーを開催した。同大学の閻学通国際関係研究院長から、米中関係の展望等について説明を聴くとともに意見交換した。概要は次のとおり。

■ 米国の対中政策、中国の対米政策

今後5年間の米中関係の趨勢は、両国の相手国に対する政策を把握することで予測できる。

米国の対中政策は、一部分野では協力するものの、その中核は競争にある。他方、中国は、経済貿易分野において米中の協力関係が存在することから、両国が競争関係にあるという主張に同意していない。このように、二国間関係の定義について隔たりが生じている。

米国は、中国の力を抑止するために、QUAD(日米豪印戦略対話)やAUKUS(米英豪が創設したインド太平洋の安全保障枠組み)など、いくつかの国と小集団をつくったうえで中国を排斥する「小集団式の封じ込め戦略」をとっている。中国はこのような米国の動きに対して、明確に反対を表明している。一方で、米国の通商政策は、デカップリングから「スモールヤード・ハイフェンス」(限定された技術について敷居を高くして守る戦略)に移行しており、中国に対する牽制は限定的なものになるとみている。通商関係の緊張は依然として存在するが、2021年の米中間の貿易額は増加しており、両国の通商関係が途切れることはないだろう。

米国にとって対中政策の最大の要素は台湾である。昨年以来、米国が台湾の独立分離政策に対する支援を強化してきたことから、世界的に、台湾海峡における衝突の可能性が高まったとみられていた。そうしたなか、昨年11月に米中首脳オンライン会談が行われ、台湾問題について議論がなされた。双方が主張を述べたことで、戦争へと発展する懸念は多少低減できたものの、両国の間で台湾問題に関するコンセンサスは得られていない。

■ 米中関係の現在と今後5年の展望

現在の米中関係は、国交樹立以降最悪の状態にある。16年に関係が悪化し、17年12月に米国が中国を競争相手とみなして以降、厳しい状況にある。22年から25年の間には中国の第20回共産党大会や米国の大統領選挙が行われる。党大会において中国は政治原則を維持し、米国は中国との対立を選挙の争点にしていることから、26年までは悪化した状態が継続するだろう。

今日の米中関係は、米ソの冷戦とは異なり、イデオロギー対立ではない。その核心は、デジタル技術・ハイテク競争にある。関連する分野は今後拡大していくと見込まれており、今後5年で競争はより熾烈なものになるだろう。

【国際協力本部】

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