Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年8月4日 No.3555  今後の食料危機に警鐘、日本企業の協力に期待 -ビーズリーWFP事務局長と懇談

ビーズリー氏

西澤委員長

経団連の西澤敬二企業行動・SDGs委員長は7月12日、東京・大手町の経団連会館で国連世界食糧計画(WFP)のデイビッド・ビーズリー事務局長と懇談した。

冒頭、ビーズリー氏は、「私の仕事の目標は、食料危機のない社会の実現である。しかしながら、気候変動問題やコロナ禍、さらには、紛争の影響で状況はむしろ悪化している。世界で深刻な飢餓に苦しむ人々は、コロナ禍前は約1億3500万人だったのに対して、現時点では約3億4500万人へと急増している」と厳しい現状を示した。

また、今後について、「穀物生産国であるウクライナやロシアに食料を依存している国々では、食料危機に直面する。干ばつや肥料不足による農産物の減産も予想されている。とりわけ肥料不足が心配であり、アジアにおけるコメの生産も大きな影響を受けるだろう。今、何も手を打たず、飢餓が深刻化すれば、社会の不安定化や大規模な人口移動につながるだろう」と懸念を表した。

同時に、ウクライナ緊急人道支援に関し、多くの日本企業がWFPのプログラムに支援・協力したことに謝意を表明。そのうえで、「WFPには、自前の船や飛行機、トラックによる物流システムがあり、他の国連組織の人道支援物資の輸送も担っている。日本企業から生体認証に関する技術協力を得て、食料配給時の本人確認や履歴管理のシステムを構築している。物流コスト1ドルの節約により、子どもに4食分の支援を届けられる」と述べ、日本企業とのさらなる連携に意欲を示すとともに協力を求めた。

【SDGs本部】