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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年9月22日 No.3560 新たな日ASEAN関係構築 -アジア・大洋州地域委員会ASEAN経済連携強化部会

富山氏

ASEAN諸国は、わが国にとって主要なビジネス・パートナーであり、また、わが国が掲げる自由で開かれたインド太平洋(FOIP)を通じて、地域の安定と繁栄を実現するうえで重要である。加えて、今般立ち上げられたインド太平洋経済枠組み(IPEF)においても、持続可能で包摂的な経済成長に向けて、ASEAN諸国の積極的な参加が期待される。

経団連は8月30日、アジア・大洋州地域委員会ASEAN経済連携強化部会(田中秀幸部会長)をオンラインで開催した。外務省アジア大洋州局の富山未来仁地域政策参事官から、「日ASEANをめぐる情勢と新たな関係構築に向けて」をテーマに説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ 地域で重要な役割を果たすASEANで存在感を増す中国

ASEANの人口は約6億7000万人に達している。経済成長は著しく、同地域における2021年実質GDPの総額は3.1兆ドル(全世界の3.6%)と、日本の4.4兆ドルに迫りつつある。また、中国の南、インドの東に位置し、広く海洋に面する地政学的要衝にあって、東アジア首脳会議(EAS)、ASEAN+3、ASEAN地域フォーラム(ARF)等の枠組みを通じ、東アジアの地域協力にあたり中心的な役割を果たしている。ASEANの平和と繁栄は、日本を含む東アジア地域全体の平和と繁栄に直結し、重要性は極めて大きい。

中国は、ASEANの重要性に着目し、1991年に対話国としての関係を開始して以来、結び付きを強めている。現在、中国はASEANにとって最大の貿易相手国であり、感染症対策の支援に加え、南シナ海行動宣言(DOC)の発出、法的拘束力を持つ南シナ海行動規範(COC)の交渉開始など、協力体制の強化に向けた取り組みを進めている。

■ 新たな日ASEAN関係構築に向けて

2020年11月の日ASEAN首脳会議における「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)協力についての日ASEAN首脳共同声明」によって、わが国が推進するFOIPとASEANのAOIPは、原則を本質的に共有することを確認している。

また、米国が提唱したIPEFには、米国、日本、豪州、ニュージーランド、韓国、ASEAN7カ国、インド、フィジーが参加しており、今後、(1)貿易(2)サプライチェーン強靱化(3)クリーンエネルギー、脱炭素化、インフラ(4)税、腐敗防止――の四つの柱について、協力強化に向けた議論を進めていく。その他、ASEANによる連結性強化の取り組みを支援することで、ASEAN域内の格差の是正と統合の深化を後押ししていく。

日本とASEANは、23年に友好協力50周年を迎える。これを機に、日ASEAN関係をさらに強化していくためにも、ASEAN各国の実情と向き合いながら、わが国は、パートナーとして地域の未来を共創していくことが重要である。

【国際協力本部】

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