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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年12月8日 No.3570 株主総会資料の電子提供制度に関するセミナーを開催

石井氏

2019年12月の会社法改正に伴い、23年3月1日以降に開催される上場企業の株主総会において、株主総会資料の電子提供制度の利用が始まる。経団連は、会員各社において電子提供制度への対応を検討するにあたり、その一助となるよう、11月15日、「株主総会資料の電子提供制度に関するセミナー」をオンラインで開催した。森・濱田松本法律事務所の石井裕介パートナー弁護士から、株主総会資料の電子提供制度への実務対応について説明を聴いた。会員企業・団体から約400人が参加した。説明の概要は次のとおり。

■ 株主総会資料の電子提供制度の概要

株主総会資料の電子提供制度とは、株主の個別の承諾なしに、株主総会資料の全部を株主に対してインターネットを用いて提供する制度である。会社は、株主総会の日の3週間前の日までに、株主総会資料を自社ホームページ等のウェブサイトにアップロードする(電子提供措置)。また、株主総会の日の2週間前の日までに、株主総会の日時および場所、株主総会資料をアップロードしたサイトのURL等を記載した書面を株主に対して発送する。

他方、株主は、基準日までに書面交付請求をすれば、書面で株主総会資料の交付を受けることができる。一度請求をすれば、撤回しない限り、その後も有効となる。ただし、書面交付請求をした日から1年を経過した株主に対して、会社が催告し、異議がなければ、請求は効力を失う。

■ 電子提供制度施行後の実務対応の検討

電子提供制度への対応として、まず、各社の株式取扱規程において書面交付請求関連の規定を整備することが望ましい。書面交付請求の受付は、施行日(22年9月1日)からすでに開始されているので、速やかに対応する必要がある。

法的義務はないが、円滑な制度移行のために、株主に対して電子提供制度を案内することも合理的である。株主総会招集通知、株主通信、配当通知など株主宛発送物に制度周知用のリーフレットを同封することや、自社のウェブサイトに制度の案内を掲載することなどが考えられる。

また、法定の記載事項のみを記載した招集通知(アクセス通知)のほか、株主に何を送付するかを各社で検討する必要がある。議決権行使書面のみ同封することも、株主総会参考書類やダイジェスト情報を同封することも、従来と同程度のフルセットデリバリーとすることも考えられる。

◇◇◇

説明後の質疑応答では、参加者から、「信託銀行が提供する議決権行使サイトにおいて電子提供措置を講じることは認められるか」との質問があった。これに対して石井氏は、会社固有のサイトでなければならない等の制限はなく、信託銀行等のウェブサイトによる電子提供措置も可能であると回答した。

経団連は、電子提供制度の利用開始に向けて、石井氏監修のもと、「会社法施行規則及び会社計算規則による株式会社の各種書類のひな型」を改訂し、11月1日に公表した。ひな型本体および新旧対照表は経団連ウェブサイトで公開している。

【経済基盤本部】

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