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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年12月15日 No.3571 提言「中東湾岸諸国との戦略的関係強化を求める」を公表 -他国に競争条件で劣後せぬよう日GCC FTA交渉の一刻も早い再開を

経団連は12月13日、「中東湾岸諸国との戦略的関係強化を求める~日GCC FTA交渉再開が急務」を公表した。

2009年を最後に中断している、日本とGCC諸国(湾岸協力会議=サウジアラビア、アラブ首長国連邦〈UAE〉、バーレーン、オマーン、カタール、クウェートの6カ国で構成される経済、防衛等の協力機構)との自由貿易協定(FTA)交渉の早期再開を求めている。提言の概要は次のとおり。

■ わが国にとって死活的に重要なGCC諸国との経済関係強化

現在、日本は、原油の9割以上、天然ガスの約2割をGCC諸国から輸入している。昨今、ロシアによるウクライナ侵略等を受けて、世界における原油・天然ガスをめぐる争奪戦が激化するなか、中長期にわたる資源・エネルギーの安定供給を確保するための制度基盤の整備が求められている。

また、日本企業は、GCCに対して、自動車部品、建設用・鉱山用機械、清涼飲料など多様な製品を輸出しており、わが国産業にとって極めて重要な市場でもある。

さらに、GCC諸国は、化石燃料への過度な依存から脱却し、産業多角化やカーボンニュートラルの実現を目指して、国家主導のもと、取り組みを進めており、膨大なインフラ需要が生まれている。わが国が誇る質の高いインフラの整備を通じて、GCC諸国の経済成長を後押しし、直面する社会課題の解決に貢献する必要がある。

■ FTA締結等を通じたGCC諸国のビジネス環境改善の実現を

こうしたGCC諸国の重要性に鑑み、日GCC FTA交渉を速やかに再開し、以下の諸点を盛り込み、早期の締結を求める。

同FTAの締結を通じて実現を強く期待する事項として、第1に、実質上すべての貿易における関税撤廃を行うべきである。第2に、現地法人の設立等の外資制限、過度な現地人雇用義務などの規制の緩和・撤廃、外国人投資家の活動を妨げるその他の国内規制の撤廃を要望する。特に、サウジアラビアは、同国に地域統括拠点(RHQ)を有しない多国籍企業について、24年以降、政府および関係機関案件への入札参加を禁ずる外資誘致政策を導入するとしており、その撤廃を求める。第3に、就労ビザや滞在許可証の発給要件の緩和、発給手続きの簡素化、就労ビザの免除が必要である。第4に、GCC諸国では、一部、データ・ローカライゼーション要求がなされており、電子商取引の自由化・円滑化を求める。第5に、税制、通関、現地法人設立等の規制内容の明確化、公正で透明性のある制度運用、各種許認可の迅速化等が必要である。第6に、日本への石油・天然ガスの輸出に関して、緊急時の融通など安定供給に関する取り決めを含めるべきである。

【国際協力本部】

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