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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年3月16日 No.3583 東海地域経済懇談会を開催

経団連と中部経済連合会(中経連、水野明久会長)、東海商工会議所連合会(東海連、嶋尾正会長)は2月17日、名古屋市内で東海地域経済懇談会を開催した。経団連からは十倉雅和会長をはじめ副会長らが、東海側は中経連の水野会長ならびに東海連の嶋尾会長をはじめ約150人が参加し、「サステイナブルな資本主義を実践し、分厚い中間層の形成を目指す」を基本テーマに意見交換した。

冒頭の開会あいさつで中経連の水野会長は、「中経連では、2025年までの中期活動指針『ACTION2025』を策定し、中部圏の『地域力』、すなわち『活気に溢れ、人を惹き付ける力』の向上を目指している。具体的な活動においては、中経連が『つなぎ役』となって、広域の産学官・地域間の連携を促し、より大きな効果を生み出していくことを目指している」と紹介したうえで、産業の競争力強化や地域活性化をはじめとするテーマに関して、経団連との懇談に大きな意欲をみせた。

続いて、経団連の十倉会長は、「『サステイナブルな資本主義』の実現に向けて、グリーントランスフォーメーション(GX)やデジタルトランスフォーメーション(DX)等への官民連携での国内投資の働きかけを実施するとともに、持続的、構造的な賃金の引き上げや成長分野への労働移動の円滑化等による『分厚い中間層の形成』に強力に取り組んでいく」と、具体的な取り組みへの意気込みを述べた。

■ テーマ1「活力ある地域づくり」

活力ある地域づくりに関して、中経連・東海連からの問題提起に対し経団連から、

  1. (1)都市の競争力強化に向けて、人と人とが交流する場としての都市空間の魅力向上に加え、人々の多様な移動ニーズを満たせるよう、移動の選択肢や自由度を増やしていくことが重要である(菰田正信副会長)
  2. (2)観光は、地方創生の切り札であるとともに、わが国の成長戦略の柱の一つとして大きな期待が寄せられている。国際相互理解や国際平和などへの効果もあるとの認識を共有し、観光立国の実現に取り組んでいきたい(中村邦晴副会長)
  3. (3)ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)は、イノベーションの源泉の一つであると同時に、サステイナブルな成長を実現するためのカギである。多文化共生社会の形成に向けた施策は、国として今後取り組みを加速させるべき課題である(永井浩二副会長)

――との発言があった。

■ テーマ2「産業競争力の強化」

産業競争力の強化について、中経連、東海連からの問題提起に対し経団連から、

  1. (1)企業が持続的に成長していくためには、企業自身が社会課題の解決に取り組み、新しい活路をつくり出していかなければならない。自社だけで対応しようとする自前主義でなく、オープンイノベーションを取り入れていくことが不可欠である(篠原弘道副会長)
  2. (2)GXは、「サステイナブルな資本主義」の実現や2050年カーボンニュートラルの達成に不可欠な経済社会全体の変革であると同時に、わが国の成長戦略の中核を成すものである。この分野への投資拡大を通じて持続可能な成長へとつなげていくことが必要である(太田純副会長)
  3. (3)「Society 5.0 for SDGs」の実現に向けた価値創造やバリューチェーンの構築、さらにはリスクマネジメントの観点から、実効あるサイバーセキュリティ対策を講じることは、すべての企業経営にとって重要である。あらためて産業界全体で危機感を共有する観点から、「サイバーセキュリティ経営宣言」を改定した(遠藤信博副会長)
  4. (4)コロナ禍で顕在化した司令塔機能の不全や各関係機関の連携不足等の反省点を踏まえ、関連法案の成立や「日本版CDC(疾病予防管理センター)」の整備の前倒し等を求めている(永野毅副会長)
  5. (5)2023年版 経営労働政策特別委員会報告では、副題にあるとおり、「『人への投資』促進を通じたイノベーション創出と生産性向上の実現」を目指す姿勢を打ち出している。これを参考に、未来を「協創」する労使交渉を実行してほしい(小路明善副会長)

――との発言があった。

懇談を総括して平野信行副会長は、「まちづくりや多文化共生、スタートアップ支援、GXやDX等の各分野での取り組みを具体化し、ポストコロナも見据えた新しい経済社会の構築につなげていけるよう、引き続き努力していきたい。今後とも経団連の取り組みへの理解と協力をお願いしたい」と述べた。

最後に、東海連の嶋尾会長が閉会あいさつし、「モノづくりでわが国を支える地域として、新たな競争力を生み出す原動力となることを責務ととらえ、取り組む覚悟である」と締めくくった。

【総務本部】

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