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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年3月23日 No.3584 提言「バイオトランスフォーメーション(BX)戦略」を公表

経団連は3月14日、提言「バイオトランスフォーメーション(BX)戦略~BX for Sustainable Future」を公表した。概要は次のとおり。

1.はじめに

バイオテクノロジーの進化は、環境破壊や資源制約といった社会課題の解決と、持続可能な経済成長を両輪で実現し、社会のあり方そのものを大きく変革する。すなわち、BXをもたらす可能性を秘めている。急速に進歩したバイオテクノロジーというツールの活用によってもたらされるインパクトは、特定のバイオテクノロジーを有する企業だけでなく、さまざまな業種における製品の研究開発の方法、原材料や製造方法、資源循環などのビジネスモデルを変革する。その結果、産業構造の転換をもたらし、社会全体の資源・エネルギーや食糧の確保・利用のあり方をも抜本的に変える可能性を有する。

経団連は、2022年6月にバイオエコノミー委員会を立ち上げ、政府関係者や有識者らと意見交換を重ねてきた。BXでわが国が目指すべき姿と実現に向けた戦略、具体的な施策を提言する。

2.目指す姿

BXを支えるバイオテクノロジーは適用分野が多様で裾野が非常に広い。その適用分野によって五つの色で分類することができる。バイオ素材やバイオ燃料など工業・エネルギー分野の「ホワイトバイオ」、高収量作物や森林資源の有効活用など食糧・植物分野の「グリーンバイオ」、再生・細胞医療や遺伝子治療など医療・健康分野の「レッドバイオ」、海洋資源保全やCO2吸収藻類など海洋分野の「ブルーバイオ」、廃棄物再利用や環境浄化など環境分野の「グレーバイオ」である。

BXで目指すべき社会は、最新のバイオテクノロジーの活用によって世界が直面するさまざまな課題の克服が進んだ、持続的で再生可能性のある循環型の経済社会である。これは、かねて経団連が提唱しているSociety 5.0 for SDGs、すなわち、不断のイノベーションと新たなビジネスの創出により社会課題の解決と経済成長の両立を成し遂げる世界そのものである。わが国がBXを他国に先駆けていち早く実現することを目指すとともに、バイオ産業をわが国の成長を牽引する基幹産業に位置付けていく。

3.五つの戦略

BXの実現は、他国に先駆けて達成することが肝要である。経団連は、「五つの戦略」を提言し、その実行に経済界が積極的に役割を果たすことを宣言する。

戦略① バイオで価値を創造する ~エコシステムの構築

世界中の人材・技術・資金・情報が集まり、各プレーヤーが有機的につながるなかで異分野融合が進み、大企業とスタートアップが躍動するエコシステムの構築を目指す。

戦略② バイオで国民のくらしを守る ~経済安全保障の確保

最先端の科学技術の発展を図るとともに、同盟国・友好国と協力し、バイオ原材料の安定的な確保やバイオ製品の生産設備の増強、高度人材の育成・活躍促進に向けた取り組みを強化する。

戦略③ バイオで世界に打って出る ~グローバルなルール形成

バイオの有効活用を通じたイノベーションの創出と社会実装、国際展開に向け、レベルプレーイングフィールドの実現とグローバルなルール形成を働きかける。

戦略④ バイオを国の重要課題に ~司令塔による政策の一元化

国家戦略の策定と振興施策の一元的遂行を担う政府司令塔組織とともに、産業界も幅広い業種のビジネスモデルを変え、産業構造の転換をもたらすBXに向き合い、各ステークホルダーがベクトルを合わせて取り組む。

戦略⑤ バイオを社会全体で応援する ~国民理解の醸成

国民からバイオの価値が正しく認知されて受容されるよう、丁寧な説明と理解を得る取り組みを積極的に行う。

4.おわりに

経団連は、BXの実現に向けた諸課題に正面から向き合い、関連する業界や政府、地方公共団体等と連携しながら、スピード感を持って解決にあたる。

【産業技術本部】

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