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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年3月23日 No.3584 提言「戦略的なインフラシステムの海外展開に向けて~2022年度版」を公表

経団連は3月14日、提言「戦略的なインフラシステムの海外展開に向けて~2022年度版」を公表した。政府の「インフラシステム海外展開戦略2025」(20年12月決定)の追補が今夏に見込まれることも視野に、インフラシステムの海外展開に関する各種の施策を要望している。概要は次のとおり。

■ インフラ投資を取り巻く情勢とわが国の現状

インフラ投資を取り巻く環境は、大きな変化のただなかにある。例えば、サプライチェーンの混乱と分断、資源エネルギー・食料の供給不安・価格高騰などは、特に、いわゆるグローバルサウスと呼ばれる新興国・途上国など、脆弱性の高い国・地域の経済社会に深刻な影響を与えている。今こそ、わが国による質の高いインフラシステムの海外展開が求められているものの、新興国との激しい競争などで厳しい状況に置かれているのが現状である。

■ 質の高いインフラシステムの海外展開に必要な10の施策

わが国が置かれている厳しい現状を打開し、質の高いインフラシステムの海外展開を一層強力に推進するためには、(1)質の高いインフラシステムのメリットを説明、発信、客観的に訴求すること(2)それらのメリットを可能な限り速やかに現出させるために、ホスト国・地域のソフトインフラ整備を支援すること――が重要である。これを基盤として、案件の計画、形成、実施、完了の各段階において、(3)ホスト国・地域の戦略・ニーズに見合う技術、製品、サービスを提供・運営管理すること(4)旺盛な資金需要と高まるリスクに対応すること(5)市場の創出・形成に向け、法制度やルールの整備等を働きかけること(6)甚大なリスクの顕在化に備えること――が必要である。

これら6項目を推進するにあたり、具体的には、(1)内閣総理大臣・閣僚によるトップセールス等(2)官民フォーラムの開催(3)質の高いインフラシステムの国際認証制度の活用(4)ガバナンス構築、人材育成等(5)社会課題の解決に向けた戦略・ニーズの的確な把握(6)O&Mに対する支援(7)ファイナンス支援とリスク軽減措置の拡充(8)法制度やルールの整備(9)国際標準化の推進(10)有事への迅速かつ柔軟な対応を可能とする体制整備――の10の施策が必要である。例えば、(2)においては、案件形成の上流段階からホスト国・地域に関与すべく、両者の官民が一堂に会し、わが国の持つ技術、製品、サービスを紹介・提案する場を設けることを求めている。

■ 取り組みを強化すべき分野

今後は、選択と集中を図りながら、次の四つの分野における取り組みを強化すべきである。第1は、グリーンインフラである。水素、アンモニアなどの脱炭素技術の開発・実装に加えて、二国間クレジット制度(JCM)におけるパートナー国の一層の拡大などが重要である。第2は、インフラにおけるデジタル技術活用である。迅速かつ積極的な政府の後押しに加えて、スマートシティーに関して、日本政府による力強いリーダーシップが不可欠である。第3は、グローバルヘルス、第4は、交通・物流インフラである。これらの分野におけるインフラシステムの展開を推進することにより、ホスト国・地域におけるサステイナブルな社会の実現に貢献し、国際社会におけるわが国の地位の向上や、各国・地域の成長を取り込むことでわが国自身の経済成長につなげていくことが重要である。

【国際協力本部】

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