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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年3月23日 No.3584 九州経済懇談会を開催

経団連と九州経済連合会(九経連、倉富純男会長)は3月3日、福岡市内で第73回九州経済懇談会を開催した。経団連からは十倉雅和会長をはじめ副会長らが、九経連からは倉富会長をはじめ約190人が参加し、「地域共創の取り組みを日本の活力につなぐ~九州の強みを活かして」を基本テーマに意見交換した。

冒頭の開会あいさつで九経連の倉富会長は、「九経連では、『九州将来ビジョン2030』のなかで示された『幸せコミュニティ』の実現に向けて、九州から成功事例を広めていけるよう、産学官金が一体となって地域課題の解決につながる具体的活動に取り組んでいる。2023年度からは、域内総生産(GRP)増への一丁目一番地である『産業軸』と地域に根差した活動である『地域軸』の二つの視点から、さらなる活動強化を図っていきたい」と発言。こうした取り組みをより実効あるものとするため、経団連との懇談に大きな意欲をみせた。

続いて、経団連の十倉会長は、「九州は、以前から『アジアのゲートウエー』としての強みを活かし、多様な文化・人・経済の交流により、高い付加価値を生み出している。こうした強みを活かした取り組みが日本経済全体の活性化につながっていくことを大いに期待している」と指摘。「経団連は、引き続き『from the social point of view』(社会性の視座)、そして、科学的・論理的・客観的な視点に立ちながら『サステイナブルな資本主義の実践』に向けて努力していく」と述べ、今後の具体的な取り組みに強い意欲を示した。

■ テーマ1
高い付加価値を生み出す『産業』の創出と魅力・活力溢れる『地域』の創造

産業の活性化、魅力ある地域の創造に関して、九経連からの問題提起に対し経団連から、

  1. (1)豊かな自然環境をはじめ、九州の特徴ある地域資源と強固な人的ネットワークが相まって、九州独自の取り組みが進めば、国内外からの訪問客や関係人口、定住人口の増加につながるものと期待している(永井浩二副会長)
  2. (2)グリーントランスフォーメーション(GX)の具体化に向けた検討は緒に就いたばかりである。経済界は、GXに果敢に挑戦していくとともに、積極的な情報発信や政策提言を通じて、国民的な議論を喚起する必要がある(太田純副会長)
  3. (3)わが国では、基幹的農業従事者の減少や高齢化に伴って農地面積が減少している。農業の成長産業化は喫緊の課題であり、その解決のために「生産基盤の強化」と「輸出の拡大」を車の両輪として推し進めることが重要である(小路明善副会長)
  4. (4)2023年版 経営労働政策特別委員会報告では、持続的な成長の実現には「人への投資」を起点にイノベーションを創出して労働生産性の向上を図り、その成長の果実を適切に分配する必要があること、特に賃金引き上げのモメンタムを維持・強化して「成長と分配の好循環」の実現に寄与することの重要性を強調している(大橋徹二副会長)

――との発言があった。

■ テーマ2
県境を越えたデータ連携による九州全体でのデータ駆動型社会の基盤整備

広域でのデータ連携の取り組みについて、九経連からの問題提起に対し経団連から、

  1. (1)持続的な成功の実現に向けて社会全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めるにあたり、データ利活用が不可欠であることは言うまでもない。広域かつ複数の官民データを連携するモデルを構築し、他の地域にも横展開してほしい(東原敏昭副会長)
  2. (2)持続可能でレジリエントな観光を実現していくためには、新型コロナウイルス前から観光が抱えるさまざまな課題に官民で連携して取り組み、観光産業のプレゼンス向上を図ることが重要である(篠原弘道副会長)
  3. (3)経団連で取りまとめた「サイバーセキュリティ経営宣言 2.0」を踏まえ、経営トップセミナーを開催するなど、普及啓発・情報発信に取り組むとともに、日米・日英での意見交換を行うなど、国際連携に注力している(遠藤信博副会長)

――との発言があった。

最後に、懇談の総括として中村邦晴副会長が「観光・農業振興等の地域産業の活性化、GXの促進、デジタル化・データの利活用等を中心に、具体的な取り組みを進めるべく、経団連としても、引き続き努力していく」と述べた。

【総務本部】

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