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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2024年2月29日 No.3627 感染症危機に備えて -内閣感染症危機管理統括庁と意見交換/危機管理・社会基盤強化委員会企画部会

須藤氏

経団連は2月6日、東京・大手町の経団連会館で危機管理・社会基盤強化委員会企画部会(工藤成生部会長)を開催した。内閣感染症危機管理統括庁(統括庁)の須藤明裕内閣審議官から、「感染症危機に備えて」と題して統括庁のこれまでの取り組みや、今夏をめどとして政府が進めている「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」(政府行動計画)の改定について、説明を聴くとともに意見交換した。概要は次のとおり。

■ 統括庁のこれまでの取り組み

統括庁は、2023年9月の発足以降、「新型インフルエンザ等対策推進会議」(推進会議)を同年内に8回にわたって開催し、12月に「政府行動計画の改定に向けた意見」を取りまとめた。また10月から11月にかけて、岸田文雄内閣総理大臣はじめ全閣僚をメンバーとした政府対策本部会合訓練のほか、関係省庁との対策会議、47都道府県との緊急連絡会議等の感染症危機管理対応訓練を実施した。24年1月には、平時から次の感染症危機に備える意義について理解・関心を促進するため、シンポジウムを開催した。

■ 政府行動計画の改定に向けた意見のポイント

わが国では、新型コロナウイルスによる感染者、死亡者数が諸外国と比較して低い水準となったこと等から、コロナ対策が一定の効果を発揮したと考えている。一方、医療提供体制や国と自治体等の連携などの平時の備えの不足、感染者数や病原性など変化する状況への対応、科学的根拠に基づく国民への情報発信においては課題が残った。

そのため政府行動計画の改定に向けた意見では、新たな感染症危機に備えて、(1)迅速な初動体制の構築やデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進など「感染症危機に対応できる平時からの体制作り」(2)情報提供・共有など「国民生活・社会経済活動への影響の軽減」(3)必要最小限の行動制限や差別・偏見の防止など「基本的人権の尊重」――の三つを目標として掲げた。

これらの目標を踏まえ、改定の基本的な考え方として、「平時の備えの整理・拡充」「有事のシナリオの再整理」「感染拡大防止と社会経済活動のバランスを踏まえた対策の切り替え」「対策項目の拡充」――の四つを提示した。

対策の各論は、従来の政府行動計画にも記載していた、実施体制、サーベイランス、情報収集、情報共有、まん延防止、医療、国民生活・経済に加え、新たに水際対策、ワクチン、治療薬、検査、保健、物資を独立させるなどにより、13項目へと拡充した。さらに、「人材育成」「国と地方自治体等との連携」「DXの推進」「研究開発の支援」「国際的な連携」――の五つの横断的視点のもと、検討を進めることとしている。

24年1月から6月にかけて、各論に関する議論を具体的に深めたうえで、24年夏ごろをめどに政府行動計画改定の成案を得る予定である。

◇◇◇

講演後、科学的根拠に基づく正確で迅速な情報発信・共有、デジタル技術の研究開発や社会実装に向けた政府の支援、医療物資等の戦略的備蓄や有事の際の医薬品の確保の重要性など、感染拡大防止と社会経済活動の維持に向けた対策について、質疑応答が行われた。

【ソーシャル・コミュニケーション本部】

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